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ファンタシースター計画33



 世の中には力がある奴と、それがない奴がいる。
 アタシみたいな木端ARKSは力のない奴に該当する。
 んで、ゲッテムハルトのやつは、力があるヤツに位置する。
 
 その違いはどこから生まれるのか?

 まず、住んでるところが違う。
 アタシは魔女っ娘とルームシェアしてる貧乏人。
 一方のゲッテムハルトのやつは『宇宙船』にお住まいだ。
 船団の中で個人所有の船を有しているやつってのは、電子登記簿見る限りではかなり少数だ。
 なんせ、登記制度で何とかなるくらいの台数しかないわけだからな。
 
 で、ゲッテムハルトのやつのところに、アタシがこれからのこのこ訪ねていくわけだ。
 登記簿のデータを見れば、たやすくヤツの船の座標なんざ掌握できた。
 そこに、アタシは手土産もって乗り込むわけだ。すんません、ダリッドについて教えてくれってな。
 そもそも、アタシがダリッドなんざに拘ってるのは、不正を暴くみたいなつまらない正義感からじゃない。

 たぶん、アタシもダリッドだからだ。

 アタシはわけもわからずこの世界に生み出されて、よくワカンネぇうちにARKSになっちまった。
 その背景にはいろんな思惑があるんだろうし、いろんな組織が噛んでるんだろう。
 けれど、つまるところアタシは誰かと誰かが愛し合って、その先に生まれた存在じゃねぇってことだ。
 本当の意味でこの船に乗っているべき存在じゃねぇんだ。
 アタシは、むしろ、ダリッドのようなIDのない根無し草に近い存在のはずなんだ。
 だから、ダリッド問題に首を突っ込む。
 解決できないなら、問題に首を突っ込むんじゃないってお説はもっともなんだが、アタシは問題を見て見ないふりができるほど賢くない。
 だから、アタシはゲッテムハルトみたいな腹立たしいHENTAIに会って、アタシがアタシなりにコミットできる方法をつかむために知恵を授けてもらう必要がある。



 ヤツのレジャー船舶は、とても良く手入れされていた。
 アタシみたいなボンクラが手に入れることなんざ決してできない、贅を凝らしたレジャー宇宙船をやつが買って、大幅に増改築。
 ヤツのための小さな王国を作ったそうだ。そして、その宇宙船の船室がゲストルームだったりベッドルームになってるわけだ。
 入港管理局なんざなく、勝手にシャトルシップで乗り付けやがれという大雑把な来訪管理も、脳筋らしくて気に入った。

 レジャー船になじみの『ペリカン』をドッキングさせて、中に入った。
 エアロックには執事がいた。
 とは言え、これまた旧式のアンドロイドだった。そう、アンドロイドだ。
 キャストのような人類の一員として生きているような存在ではなく、人としての核心を欠いた、機械にすぎない人型。
 今時残ってるなんて驚きだが、こんなのを執事にしてるくらいなんだから、ゲッテムハルトのやつも相当の代わりもんだな。
 この執事に案内されて、華やかなる調度品が飾られた廊下を過ぎ、やたら高級な天然木材を用いた扉の前に案内された。
 さすがレジャー船。なにからなにまで戦争には向いてない仕様だ。

「旦那様、お客様をお連れいたしました」

 どっかの爺さんの声帯をコピーしたような機会音で、アンドロイド執事が報告する。
 すると、高そうな扉の向こうから「入れ」と、例の偉そうな野太い声が返ってきた。
 その声に応え、どうぞお入りください、とアンドロイド執事が扉を開けてくれた。
 
 そこは寝室だった。
 アタシの目には、男女の交わりの中休みといったところの、男女の寝姿がダイレクトに映ってる。
 
 マジかよ。二人はベッドの中にいるぞ?
 
 見事な胸筋にうっすらと汗を浮かべつつ、スコッチのグラスを傾けている男と、すっかりイッちまって玉の汗を白い背中に浮かべて、桃色の頬と唇をしめやかに湿らせた女。
 シーツは、程よく乱れているが、服はたたまれていた。
 つまり、脱がせたんじゃなく、脱いだってことだ。女の方が、自分で脱いで、男がそれを見ていたのかもしれない。

「よぉ、ヒマワリ・ヒナタ。このオレに何の用だ?」
「……」

 アタシは声がでなかった。平然とアレの最中にゲストの女を招き入れる精神が理解できなかった、ってのもあるが、単純に気圧された、というのもある。

「おい、シーナ。起きろ。客人だ。ブラッド・アンド・サンドを作ってやれ」
「はい、ゲッテムハルト様……」

 例の特殊系マッシュルームヘアの女が、ベッドから出ようとするが、どうやら力が抜けちまってるらしく、不定期にビクりと痙攣するばかりだ。

「シーナ、本当にお前は感じやすいな」
「申し訳ございません……ゲッテムハルト様」
「役立たずめ。動けるようになったらオレに奉仕しろ」
「はい。ゲッテムハルト様」

 アタシは他人がどういうセックスするかなんて興味ないんだが、今回ばかりはそうもいってられなかった。
 ここにあったのは恋愛とか売春とか、そういうわかりやすい交わりじゃなくて、もっと歪な、絡み合いのようなものだったからだ。

「勝手にそこらに座って、好きなのを飲め。ヒマワリ・ヒナタ」
「あ、ああ。勝手に飲ませてもらうよ」

 すっかり気押された、というかヤツのペースに巻き込まれちまったアタシは、おずおずと適当にシングルモルトをグラスに注いだ。
 とろんとした液体にから、芳醇な甘い香りがした。
 ヤツらの情交の香りよりも、気高く、キリッとした香りだ。アタシはそれを片手に、ヤツのベッドのそばにあった書物机の椅子に座る。

「シングルモルトを飲むやつは、人生に飽きているヤツだ」
「勝手なこというやつだな。あんたは」
「オレがそう言ってるんだ。なら、それはいずれザインとなる」
「へ?」
「あの暗い小娘と住んでるわりには教養がねぇな」

 まさか、ゲッテムハルトみたいなやつから教養なんて言葉が出るとは思わなかった。

「テメェがきた理由はわかってる。ダリッドどもについて、オレが首を突っ込んでいる事実をつかんだからだ」
「その通りだ。アタシはそれについて調べてる」
「……調べて、どうするんだ?」

 ヤツがくだらないゴミでも見るようにアタシを一瞥する。
 そして、やとこさ体に力が戻ったシーナって小娘が、白くしとやかな裸体を見せつけながら、ゲッテムハルトの体にやわらかく絡みつく。

「失礼いたします。ゲッテムハルト様、ヒマワリ様」

 そんなことを言って、シーナはうす桃色の唇をもって、やつに「奉仕」し始めた。
 マジ、こいつらなんなんだ?

「ARKSもORACLEも、ザコばかりだ。どいつもこいつも自分の人生のなかに縮こまってやがる。今日をしのぎ、明日を片付け、過去を忘れる。そうやってロクデモねぇ日々を奴らは平和ってもんだと思い込んでやがる。忘れてんだな。殺し、殺されることこそ、動物としての人類の生だったってことをよ」
 
 ゲッテムハルトは、そんなことを言ってシーナの乳房を強くつかんだ。
 ありゃ、イテェだろうな、とアタシは思うけれど、シーナは表情一つ変えずご奉仕中だ。狂ってやがる。

「ダリッド問題だって同じだ。見たくないものを見えないところに追いやって、それで安心してやがるんだ。市民て奴らはよぉ。人類って奴は善悪の塊だ。悪だけを切り離せるなんてこたぁ、神を殺すよりもずっと難しいってことを、忘れてる」
「なにがいいたいんだ?」
「テメェがロクデナシってことだ。ヒマワリ・ヒナタ。テメェは何だ? 本来はテメェだってダリッドだ。思い出せよ。忘れたとは言わせねぇぞ。テメェはクローンだろうが。誰に作られたか、どんな目的のために生み出されたか、それをテメェは忘れたフリをして、ママゴトみたいな毎日を送ってる。そろそろそれが後ろめたくなったんだろう?」

 シーナの尻を抱き寄せ、そのまま貫きはじめたゲッテムハルトのクソ野郎に、アタシ自身の懸念を指摘された。

「ヤリながら説教垂れるなんて頭おかしいんじゃないか? ゲッテムハルト」
「狂ってないやつは、この世界が腐ってることを知らないやつだ。生贄をささげ続けることで回る世界を知って、正気を保ってるほうが、むしろ狂ってるぜ」

 ヤツはシーナを激しく抱く。
 獣が子羊を犯しているようにしか見えないけれど、壊すようなものとは少し違う。
 むしろ、アタシが女だからか、ゲッテムハルトのほうが、切なく、強く、分かちがたくシーナを求めているように見えた。
 力を込めて、離さない様に、どうしても離れて行ってしまうシーナを抱きとめようとしているんだろうか。

「……アタシがダリッドだってことくらい、分かってるつもりさ。たまたま、運が良くてARKSなんかやってるにすぎない」
「そうかよ。テメェにとって、テメェの存在の認識はそんな程度か。くだらねぇ。テメェはこっち側に来れるはずなのに、まだそっち側にようと踏ん張ってやがる。気に食わねぇ」

 やつが何を口走ってるのかよくわからなかった。
 アタシにわかったことは、シーナのやつが「も、もう……」と、切なげな吐息をついて、そのまま緩やかにしだれていったことくらいだ。
 こいつらは、オカシイ。
 自分たちが世界の中心で、何をしたっていいと思ってやがるとしか思えない。そうじゃないと、アレの最中に客よぶか?

「ちっ……。シーナ、今日はこのくらいにしといてやる。かまととぶった客の相手は飽きた。あとはお前に任せる」

 そういってゲッテムハルトは意外と丁寧に、くたびれたシーナにシーツをかけてやり、全裸のままベッドから出でて仁王立ちになった。
 隠せよ、前。

「テメェが知りたいと思っていることは、シーナが教える。オレが直接どうこうするほどに、お前は世界をわかっちゃいない。まだ、テメェはクズだってことだ」

 ヤツはそう吐き捨てて、汗を浮かべた厳めしい背筋を見せつけながら、部屋から出て行った。



「取り乱して申し訳ありません。ヒマワリ・ヒナタ様。ご用向きについて、ふつつかながらわたくしがお答えいたします」

 さんざんヤリまくったあげく、服を何事もなかったよ様に着て居住まいを正すシーナに、アタシは開いた口がふさがらない。
 羞恥心とか、そういうもんはコイツもってないのか?

「いや、そんな畏まらなくても。教えてもらうのはアタシのほうだから」
「いえいえ。ゲッテムハルト様が客と御呼びになったからには、粗相があってはなりません」

 十分、粗相があった気がするが、こいつらにはアタシみたいなやつの常識は通じないんだろうな。
 文化が混交して、何が常識で、どれが非常識なのかなんて実のところよくわからねぇのがORACLE船団だしな。

「つきましては、私事ではございますが、不肖わたくしめがゲッテムハルト様の御側にいるに至る点をお話せねばなりません」

 それから、このシーナとかいう奴は淡々と己の来歴を語り始めやがった。
 まったくもって、コイツらはアタシの尺度じゃはかりきれねぇ、厄介な連中だよ、まったく。
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

プロフィール

YABUSAME

Author:YABUSAME
PSO2をプレイして、結構たちましたねぇ。
SEGAさんの公式サポーターになって随分たちました。

さて、ここにはテキストコンテンツしかありません。
華やかな画像やSS、イラストとは無縁ですのでご了承ください。
ななめ読みとかして楽しんで頂ければと思います。





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