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ファンタシースター計画21

 ぜんぶ、アタシらと同じ人類と聞いても、だから何? だ。
 たとえ、アタシらが殺しまくってる原生生物だの、ダーカーだのが、人類だったからって……。
 何もかわりゃしない。

 人はいつだって、同族殺しをやり続けてきた。
 いまだって、どっかの誰かが殺人事件を起こしてるだろうよ。
 だから、アタシらの敵が人類の『一つの可能性』だったなんていわれても、驚きようなんかない。

「全然、戻れなくなんかないじゃねぇか。今までと何も変わらない」

 アタシは、したり顔で重い真実もどきを語った准将に言ってやる。
 この程度で、アタシは動揺したり、後悔したりなんかしない。
 だって、そうだろ?
 我々は常に有罪なんだ。
 ARKSだろうが正規軍だろうが、一般市民だろうが、人はいつだって何かを見ないフリをしてる。
 本当は助けられたかもしれない命だって、助けられなかった、無理だったって言って、いくらでもごまかしながら生きてる。
 自分の人生だってそうじゃないか。
 何か出来るかもしれないけれど、何もしない。
 いくつもの『今より得して、楽な道』を選択しまくって生きてる。
 いつだってそうさ。
 アタシはアタシに対するいいわけが一番上手だ。
 仕方ないから、殺す、とか。
 魔女っ子みて、『あいつは天才だからな』といってごまかすとか。
 本当は分かってるのさ。アタシがあいつほどに努力しなかっただけだってな。
 だけど、ほら、天才って言っておけばさ、アタシがアタシのせいでヤツに及ばないって事実から目を背けることが出来るわけさ。それが、わるいことか?
 周りにいる連中はトンデモな奴らばっかりだから、アタシはこうやって心の健康を保つ。
 それがろくでもないイイワケだと知りながら、それにさも気づいていないように振舞う。
 それのどこが悪い?
 それは悪いことじゃないはずだ。事実、そういう生き方をしたって、思う存分楽しく生きられる。
 得で、楽な道ばかり選択したって、前進には変わりないんだ。
 だから、アタシは驚かない。
 ダーカーが、人だからといって、アタシにはそれを殺すのを躊躇う理由がないから。
 人がアタシの大事なヤツを傷つけるなら、アタシは容赦なく殺す。
 めんどくさいことは考えない。
 そういうのは、お前らみたいな賢い連中の特権なんだよ!
 つまり、アタシにとって、安易な解は最初から容易されてるんだ。

「つくづく、あんたってライトな考え方するわよね」

 キァハ准将は、まれ見るバカを見てしまったという表情を浮かべているが、だからなんだと言いたい。
 バカはバカなりの見解にしたがって生きてるんだ。
 いちいち他人の言ったことにあら、たいへん、っと驚いてばかりなわけないだろ。

「軽薄で結構だよ。罪の意識にもだえるとでも思ってたか?」
「多少はね」
「それは、ない」
「そんなに誇らしげに言うことかしら?」

 准将はつまらないものを見てしまったといわんばかりだ。
 だが、アタシはもともと大して面白い人間じゃない。
 だから、芸人じゃなくて、しがないARKSなんかやってるんだ。
 もし楽しくて面白くて、素敵な人間だったら、こんな砂漠の隅っこで、将軍とコーヒーなんか飲んでない。

「アタシね、ラグオルにいたのよ」
「ああ、聞いたよ」
「あなた、ラグオルの何を知ってる?」
「放棄された殖民惑星だとしか、知らないな」

 入植地が何らかの攻撃で壊滅したとしか知らない以上、そうとしかいえない。
 地球型惑星の殖民惑星が放棄されるなんてのは、そう珍しいことじゃないし。

「あたし、ラグオルで軍の代理士官として生を受けたの。あの頃は、まだヒューマンやニューマンが軍の指揮官をやってて、あたしらキャストは『アンドロイド』と呼ばれて、有機生命体どもの便利な道具として、生活を許されていた」

 歴史の教科書レベルの話だ。
 キャストたちがロボだのアンドロイドだの言われて、一つの命として扱われていなかった時代。
 今だって、そういう主義者みたいなのが生き残ってるけど、そういうのは法院の人種問題対策の連中に狩られることが多い。
 少なくとも、いまはそういう差別主義が排斥されるべきものってのが常識化してる。
 だけど、彼女が若い頃はそうでもなかったんだろう。
 ってことは、この女准将は歴史の教科書クラスの人生を生きてるわけだ。
 アタシなんかより長生きなんてレベルじゃない。いいかげん、生きるのに飽きないのか?

「代理士官ってのは、正規の将校たるヒューマン・ニューマンがいない部隊の指揮をとるための存在。あのころのラグオルは、士官を養成する時間がなくて、仕方なくキャストに焼付け記憶で指揮統制能力を付与して、戦線に放り込んでた」
「いや、まて。ラグオルはハンターズっていう組織があったろ? 何でも屋みたいな」
「あれは、あたしが生まれたときはもう壊滅してた。真っ先に脅威に立ち向かって、時間を稼いでくれてたのよ」
「……勇敢だな、ハンターズは」
「ちょっと、どことなく今のARKSに似てたわね、雰囲気が」

 そういわれると、悪い気はしない。

「アタシは、ラグオル戦役が最終局面に入ったときの生産品なの。今でも覚えてるわ。この世に生まれて最初に言われたことは『誕生おめでとう。すまないが、敵に侵入された。排除してくれ』だったわ。生まれたばっかりのあたしは、いきなり完全武装にされて、研究所の防衛行動に入った――

 生まれてきた世界は、美しかったわ。
 どこもかしこも、赤と白なのよ。
 白塗りの研究施設の壁は、殺された兵士や研究員の血が、花火みたいに咲いていた。
 あたしは血塗られた廊下をてくてく歩きながら、当時の主力装備だったフォトン・ライフルで敵をがんがん殺してた。
 その敵ってのが、何者なのか、あたしにはすぐ分かった。
 あたしの目、多重情報処理デバイスは、映りこむ敵の組成に、人の要素を検出してたからね。
 だから、あたしは司令部に通信したの。
――敵性戦力は、同族か? おくれ
 そしたら、司令部からこう返事があったのよ。
――敵性戦力は同族。DFにエンドサイトーシス。救済の方法なし。排除せよ
 つまり、惑星ラグオルはDFとかいう、敵性宇宙人みたいなのに攻撃されてたわけ。
 しかも、その宇宙人は我々を取り込んでいくとんでもない奴らだったのよね。
 あ、攻撃って言葉は適切じゃないかもね。
 むしろ、生存闘争だったのよ。
 どちらの種族が、宇宙の観測者たる存在として生きることを勝ち取れるか、そういうのを争っていたといっていいわ。
 だから、あたしは了解、といって、ひたすらにDFに取り込まれた同族を殺し続けたの。
 気分は、悪くなかったわ。
 だって、最低ってのがどういう気分なのか分かるほどに、いい思いしたことなかったからね。

 その後、あたしはキャストと敗残兵だけで再編成された『第674機械化歩兵小隊』の小隊長になった。
 ロクデナシ小隊ってみんな読んでたけど、たしかにロクデナシしかいなかったし、与えられた装備も不足という言葉だけが十分あった程度。
 そして、与えられる任務のほとんどは、ヒューマンやニューマンの市民を救助する任務だった。
 まさに、そびえ立つクソを上る日々ってヤツね。

 でもまぁ、ロクデナシ小隊はあっという間にろくでない中隊になって、ロクデナシ連隊になった。
 ヒューマンの戦争屋どもはアホばっかりだったし、ニューマンは虚弱だったのよ。
 だからあたしは、全人類のために、そういう無能な上官には戦死していただいたわ。
『奇を以って正を――』とか言い出す軍師気取りまでいたからね。
 まったく、戦争が分かってないのよ。
 DFなんかと交渉する余地なんかないから、今までの人類史が積み上げた『戦争』の既成概念を打破しなきゃいけないのに、それをラグオル軍は認められなかった。
 有機生命体って、混乱したり追い詰められると、視野狭窄になる傾向があるけど、それって限りなく戦争に向いてない種族であることだと思わない?
 もう、敵の戦力を叩く戦争、敵の連絡線を切断する戦争の時代じゃなくなってた。
 単純に、どっちがたくさんの敵を殺せるか、それだけなの。
 殺されずに、たくさんの敵を殺す。
 出来るなら一方的に敵を叩く。
 和平なんてないんだから、虐殺しまくるしかないのよ。
 でも、有機生命体は脳みそに寄生虫とか湧きやすいからか知らないけど、和平の道はあるとか言い出してさ。
 宇宙人との対話の可能性、みたいなコトをニューマンの科学者度もがまともに言い出したり。
 あれね、たぶん集団催眠みたいなもんよ。
 危機的状況にあっても、都合のいい事実を作ってすがりたくなっちゃうアレ。
 あたしはあきれながら、夢見心地の科学者や、そういう筋の活動家に手を貸してやったのよ。
 だって、そういう自分の作ったでっち上げに酔ってる人間って、すごく狂信的だから。
 そういうのに協力してあげると、すっごく感謝されて、資金や資源、権力の融通が利くのよ?
 おかげであたしの部隊の増強に役立ったわ。
 
 そんな、そびえ立つクソに蹴りを入れる日々の中で、あたしは世界の情報をかき集めた。
 ま、あたしがこの世界に生み出される理由を知りたかったのよね。
 だって、あたしは戦いのために生み出されたわけだから。
 ほかのキャストみたいに、銀行で働くとか、ヒューマンとキャストの禁断の愛のために生まれた子どもアンドロイド出身とかじゃないしね。
 で、調べた結果は、案の定クソ山の中のクソ森みたいなもんだったわ。
 あのね、DFと人、この二つの存在が交わることなんか本来なかったのよ。
 お互いはお互いを観測できなかったし、干渉も出来なかった。
 あのころの人間の言葉を借りれば「お化け」とか「精霊」みたいな、人がたまに感じるという超常現象程度の交わりしかなかったの。
 だけど、全てはパイオニア1、十カ国政府とブラックペーパーのアホどもが、欲望たぎらせちゃったせいで、そんな淡い関係はオワリを告げた。
 オスト博士、モンターギュ博士を中心とする『ラボ』、第32起動歩兵分隊『WORKS』、そして十カ国政府中央情報局『ブラックペーパー』の三者が対立しつつ、緩やかな協調によって、『絶対臨界計画』通称、ブルーバーストを引き起こしたの。
 ヒースクリフ・フロウウェンなんていう英雄もこの一件に噛んでた。
 ハンターズの英雄、リコ・タイレルって女もね。
 つまり、あたしがそびえ立つクソに上る人生を歩かされたのは、ある意味世界の総意だったわけ。
 異論を唱える組織なんていなかったしね。
 で、コレだけの情報をつかんだあたしは、案の定、惑星ラグオルを放棄する『箱舟計画』の対象から洩れたわ。
 つまり、脱出して、生き残るべき存在として認定されなかったのよ」
 
「マジかよ」
 
 アタシはキァハ准将のそびえ立つクソみたいな思い出話を聞いて、そうとしか言えなかった。
 なんだかんだで、結局、いまここにいるわけだから、オチとしては生き残るわけだから、あんまり緊迫感はない、
 ただ、彼女の言う『DF』という存在と、ダーカーの類似性に、アタシは興味を覚えた。
 惑星ラグオルの失陥を隠匿するように、准将の言う一連の流れがアタシらが承継する歴史情報から取り除かれているというところが、また厄介だ。
 アタシは砂嵐がコンテナルームをバチバチ叩いてる耳障りな音を聞き流しつつ、コーヒーをもう一杯もらう。
 本当はウィスキーあたりをもらいたいところなんだけど、さすがにそんなものはおいてないだろう。

「なぁ、准将は脱出リストからはずだれたんだろ? どうやって生き残ったんだ?」

 とりあえず聞いておく。
 そこが話の核心ではないことくらい分かるけど、聞いておかないとなんだか歯の奥に残る詰まり物みてぇじゃないいか。

「議員連中と、その家族の乗るシャトルを強奪したの。脱出まで護衛しろって任務だったから、利用させてもらったわ」

 平然と言い放つ彼女の態度に、アタシはうすら寒いものをおぼえる。
 やっぱりこいつは、全面的に信頼していい相手じゃない。

「議員たちはどうなったんだ? 家族たちは?」
「地上に残れることを泣いて喜んでたわよ? 人類の盾として死ぬことがうれしくって仕方なかったみたい」
「……よく、軍法会議とかにかけられなかったな」
「そりゃそうよ。だって、議員が死んだら再選挙でしょ? 当選する機会を与えたのは誰かしら? ついでに、その選挙資金を出したのは?」
「……なるほど。准将はそれでいて、市民を守るとか言うわけだ。議員の家族まで殺しといて。家族に罪はないだろ?」
「別に矛盾しないわよ。あたしの市民の定義は、高貴なる義務を果たす者、だから。そうじゃないヤツは見捨てるか利用させてもらうわ。お人形さんみたいに着飾って、マリファナ吸って友達とパーティしてる議員の身内どもなんて、死んでも麻薬組織とブランド屋が泣くだけよ」
「そういうのは、選民思想っていうんだぜ? どんなバカの権利も保障する、それが民主主義ってヤツだろ?」
「選民思想を弾圧しないのが、自由主義じゃないのかしら?」

 なるほどね。自由主義は、なにを考えても自由。責任だけは取れって発想だからな。
 べつに貴族主義だろうが選民主義だろうが、差別主義だろうが、そう考えることは許される。
 そして、ORACLE船団の建前は自由民主主義だ。
 両立しそうもない主義を並べ奉るってのは、簡単じゃないことだ。
 そういう、お互い理解できそうにない連中と、むりやり共同生活しちまおうってのがORACLEなんだ。
 だったら、口喧嘩になるような幕引きは無しだ。

「今日は、楽しかった。で、正規軍の撤退はいつだ? 惑星リリーパはARKSに引き継ぐんだろ?」

 仕事の話ってのは、喧嘩にならずに済む。
 思想信条は、お互いに妥協できないけれども、仕事なら別だ。
 ビジネスで妥協できないってのはありえない。
 ビジネスってのは、巧みなWINWIN関係だからな。

「三日後よ。あんたにも撤収作業手伝ってもらうからね」

 案の定、将軍は話に乗ってくれる。

「助けてもらった恩くらい返すよ」
「一生かかるわよ? あなたの命が安くなければ」
「生命保険の額が、アタシの命の値段さ」

 お? アタシなかなか格好いいキメ台詞を言えたかも?

「死亡保険の受取人、あたしにしといて」
「ありえねぇよ」

 アタシの死亡保険の受取人は、魔女っ子と、社会福祉局の孤児院になってる。
 そこの戦争屋にやる分はねぇ。
 たとえあんたが人類のためにどれだけ戦ってくれたとしても、アタシは金なんか払わない。
 だって、あんたの名誉を金で穢しちゃ、まずいだろ?
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

プロフィール

YABUSAME

Author:YABUSAME
PSO2をプレイして、結構たちましたねぇ。
SEGAさんの公式サポーターになって随分たちました。

さて、ここにはテキストコンテンツしかありません。
華やかな画像やSS、イラストとは無縁ですのでご了承ください。
ななめ読みとかして楽しんで頂ければと思います。





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