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ファンタシースター計画19


 かなり頭がイッてそうな博士だったけど、ミカンがここでがんばるって言うなら仕方ない。
 魔女っ子が紹介した仕事先だって話だけど、ほんとに頭がイッてるやつを紹介するとは思っていなかった。
 

 まぁ、それはそれとして、アタシと魔女っ子は今後の活動方針をじっくり話し合おうってことで、ストアで食材やら酒を買う。
 ストアはどこにでもあるウォルマート系列のあれだ。宇宙船でもウォルマートが展開してるってのは、超グローバル企業らしい。
 で、この宇宙時代になっても、人々は資本主義的な生活スタイルを放棄していないわけだ。
 だから、夕方になれば買い物客が来るし、惣菜だって出来立てほやほやが並び始める。

「何作るか決めてから来るのが、節約のコツらしいぞ」

 アタシはカゴをカートに乗せて、うろつき始める。
 鮮度はどれも均質。
 まぁ、バイオマス・プラント船から最適環境で運んできているだけだからな。
 せいぜい、傷の有無くらいしか違いはない。
 そして、傷の有無は味と関係がない。
 だから、結局何買ったってかわりゃしないわけだ。
 でも、人々は相変わらずスーパーに夢と希望を求めてる。
 やった、昨日よりいいトマトゲット、みたいな。
 お手軽に得した感をつかむことができるからこそ、スーパーはなくならないのかもしれない。

「お、このキャベツよくね?」
「そう? こっちがよさそう」
「いいんだよ! 土ついてるほうが生き生きしてる気がするだろ」
「洗うの面倒」
「魔女っ子は食器洗い担当だろうが」
「たしかに」

 魔女っ子はキャベツに飽きたらしく、いそいそと冷凍食品コーナーに行った。
 定番のヌードルメニューを見てるんだろう。降下先で食うならば、手間のかからない冷凍食品やフリドラが便利だ。
 さてと。
 キャベツ使って回鍋肉でも作るかな。
 豚肉にするか、羊肉にするか。それが問題となるが……安いほうにするか。

――ありがとうございましたーっ!

 店員の声を背に受けて、アタシらは買い物袋引っさげて帰る。
 商品は全部タグ管理されてるから、万引きなど不可能だ。だから、レジだってセルフレジになっている。
 それに、商品の棚出は完全に機械化。
 人が何かしてるといったら、呼び込みとか試食営業くらいかもしれない。
 ああ、ありがとうございましたーっと言う仕事もある。
 だけど。
 人々は絶対にサービス業から人を排除しないだろうな。
 どうしても、人は人と接したがるものだから。
 接客はなくてもいい、とおもってる奴はスーパーなんか行かず、オンライン・デリを使えばいい。
 仕事で忙しすぎるやつとかな。
 だけど、そうじゃない生活を求めている奴もいる。
 保守的といえば保守的だけど、悪いこととは言い切れないだろ。
 こう考えると、アタシと魔女っ子は、ライフスタイルって面からすればかなり保守的なんだろうね。

「今日はなに?」
「回鍋肉と昨日の残りの炊き込みご飯」
「チャイナとジャポン?」
「そういや、そうかもな」
「国は残ってないけど、レシピだけは残った」
「そう考えると、食事ってのは偉大だな」
「歴史なんかより、料理のほうが市民には役に立つ」
「だから、西暦の記憶は失われたわけか。まったく、人類ってのは欲に忠実だよ」


 穏やかな時間を感じるためには、穏やかではない時間が必要だ。
 大きくなるためには、まず小さくなければならないとかいう思想と一緒だな。
 問題は、その穏やかでない時間というやつが、アタシと魔女っ子にとって過酷ってことだ。

「数多すぎだろ!」

 倒しても倒しても、一向に調査対象施設の安全性を確保できそうにない。
 外周の敵性戦力を排除して、後の学術調査隊の進入を支援するのが任務だが……。
 まじ、こっちの手数考えて任務振ってるのか? 本部は。

 アタシらは、ハイドレーション・システム(背負う水袋)をチューチュー吸って、渇きを抑える。
 だが、惑星リリーパの砂嵐は、アタシらの皮膚から遠慮なく水分をはがしていく。
 乾燥と風は、脱水症状を起こさせる最高の攻撃だ。
 そんなもんを何時間もくらいながら、アタシらはリリーパ族とかいう小動物もどきが放置しやがった防衛システムとガチバトルする。
 
 スパルダンだのスパルガンだとといったセキュリティ・マシンもどきは、今のところアタシらの敵じゃない。
 確かに装甲は硬く、厚く、ぶち抜きがたいものだが、フォトン装備の前にはあまり意味があるとはいえない。
 とはいえ、アタシのへっぽこなブラオレットは、衝撃や振動を伝えはじめている。
 つまり、斬ったときにフォトンではなく、実体機関部に何らかの支障が出始めたってことだ。
 砂でも噛んだのか?
 そうだとしたら、市場でブラオレットがやたら安く流れている理由も分かるってもんだ。
 ARKSでも採用されなかったし、正規軍でもトライアル落ち。 
 そんな銃剣を使い続けるアタシは、命を怪しい代物に預ける不心得者ってところかね?

「魔女っ子、火力が足りねぇ!」
「わたしは疲れてきた。テクニックはデバイス運用が面倒」

 なんじゃら、複雑な入力を杖にしてるらしい。
 アタシも研修期間にフォースの真似事したけど、向いてなかったね。
 最近の第三世代ARKSとかいう連中は何でもなれるらしいけど……まぁ、支給されてる戦略支援OSが優秀なんじゃないの?
 大まかな動きなんか、殆ど防御ユニットやら、スーツにゆだねてるところあるからね。
 だから、ガキみたいな体……というか、ガキの魔女っ子っですら、曲がりなりにも戦争できるわけだ。

「撤退するか?」
「磁気嵐がひどい。どこかでビバークする必要がある」
「テレパイプは?」
「座標指定が困難」
「くそっ! この砂漠で一晩明かせって言うのか? 敵だらけだぞ?」
「緊急ビバークポイントの設定をブートする」

 アタシは魔女っ子が送ってくれた地図をみる。
 情けねぇ機械だな! 砂くらって時折画面がゆがむ。

「座標は分かった。移動するぞ、魔女っ子っ!」

 アタシはのこのこと近づいてきたマシンどもを叩き切る。
 だらしねぇブラオレットのせいで、マジ叩いて切るみたいな様相になってきた。
 肩とヒジ痛めちまう!

「救難信号も出す?」
「出すさ。死体になったら回収して欲しいだろ?」
「なにそれ」

 魔女っ子が汗と砂ですっかりべとついた顔で、微笑む。
 微笑は砂色だった、ってやつか?

「突貫するぞ。生存を最優先。敵の群れなど無視する」
「分かりやすくていい」
「逃げるのに慣れたってことさ」

 アタシは魔女っ子の手をとって走り出す。
 どうせ、すぐ息切れするだろうから、最後は担ぐなり抱えるなりして駆け抜けるつもりだ。
 持てよ、アタシの心肺機能。
 そして、あわよくば長距離走の船団新記録でも出してみるかね。


 どういうこった!?
 何で、迫撃砲弾が砂漠を耕してるんだ?
 ひゅるる、と甲高い音がしたら、アタシはへろへろの魔女っ子を下にかばって、伏せる。
 運がよければ、砲撃で死なずにすむ。
 だけど、腹と耳と心臓によくない砲弾は、アタシらをちゃんとよけてくれるだろうか?
 ARKS・正規軍共通識別信号出してるから、着弾誘導型の最新迫撃砲なら何とかなるはず! はず! はずなんだって!
 アタシはずるずると砂漠の砂を体全身に感じながら、這って進む。
 まさか人生で一度でも匍匐前進する機会があるなんてな。
 まるで正規軍じゃねぇか。
 しかも、相変わらず腹と頭に響く着弾が続く。
 時折、迫撃砲で吹っ飛ばされたマシンどもの部品が飛んでくる。
 きついボディーブローみたいな衝撃がきて、アタシが吐きそうになったらら、大体ちぎられた部品がアタシに当ったと思えばいい。
 それ以外のものが当ったとしたら……次の瞬間、天国か地獄でお目覚めだろうな。

「魔女っ子、大丈夫か?」
 アタシは下敷きにしてかばってる魔女っ子を確認する。
「うう、砂食べた」
「大丈夫そうだな! このまま砲声の方向に進むっ! 発射音と着弾の時差から、距離は分かった!」
「あなたって、戦闘計算だけ得意」
「生きるか死ぬかかかってりゃ、計算くらい速くなるっ! 行くぞ!
「立ち上がるの?」
「105迫撃砲、60迫撃砲なら、誘導装置がついてる。アタシらが今のところ生きていられるのは、それがここを耕してるからだ」
「そうじゃなかったら?」
「まぐれってこと! いずれ死ぬ」
「……神よ」
「祈るのは生き残ってからにしてくれ! 走らねぇと、後ろからやってくるマシンだのダーカーだのに解体されるぞ」
「……レイプはいや」
「それはないだろ! 殺されるだけだっての! さぁ、行くぞ! カウント3だ。小便漏らしてもいいからな」
「もう漏れた」
「……オーケー、内緒にしとく。3,2,1、走れ!」

 アタシの下に隠れてた魔女っ子が、のこのこと走り始めた。
 やっぱお前、走るのおせぇんだよ!
 だからアタシはフトモモ千切れるんじゃないかってくらいに回転させて、ガチ走りする。
 あっという間に先行した魔女っ子に追いつき、そのまま奴の体を抱えて、ラグビーの真似事しながら走りまくる。
 ラグビーとの違いは、迫撃砲の嵐と、追ってくる化け物機械連合の皆様に当ると即死ってことだ。しかも、ボールは魔女っ子とアタシの命。こいつはヘヴィなボールだと思うぜ、アタシはよぉ!
 砂嵐と、砲弾が巻き散らかす砂柱、そして、からからに乾いた喉に入ってくる砂を我慢しながら、生きることに、賭ける。駆ける、たまに吹っ飛ばされて翔る。
 おおっ!
 人生最長の3分間走になりそうだぜっ!


 砲弾のカーテンを抜けると、そこは基地だった。
 厳密に言えば、放棄された基地の周りに、見たことのある連中が作った野戦陣地があった、ってこと。
 俗に言うハリネズミ陣地だ。
 砂漠という劣悪な環境でも、軍隊お得意の土木工事で中々の防御線を形成している。
 外周には測距迫撃砲システムが整備され、教科書に載せたい20mmCIWSの火力網があった。
 そこを超えると、居住・管理・司令区画たる超硬プラスチックの壁がずらり。
 そして、門前には奴がいた。

「いいタイムね。最速の小学生くらいのタイムかしら」
「追われてる……」
「知ってるわ。砲兵が目標を駆逐してくれてるの」
「アタシも駆逐されそうだったぞ」
「生きてるじゃない? 何か問題でも?」

 砂と、汗と、擦り傷から漏れる血に汚れたアタシらは、どうしようもねぇ冷血なキャスト女に迎えられた。
 生き残った感激は、この女の傍若無人な振る舞いのせいで消える。
 普通、水はいるか? とか、衛生兵を呼ぶとかするだろ。
 そう。
 キァハ=キルル准将はそういう、ろくでもねぇ女だ。
 心配して損した。元気そうに戦争してるじゃん。アタシら巻き込んで。

「水よこせ。あと、シャワーあるか?」

 アタシはふにゃふにゃになって足腰立たない魔女っ子を、適当に下ろしながら言った。

「いきなり要求? 遠慮ってものを知らないのねぇ」
「遠慮なんかしてられるか。とりあえず保護を頼みたい」
「高いわよぉ? 命の値段って。それともあなたの命は安いのかしら」
「これは借りじゃねぇ。ARKSの緊急ビバーク座標がここになってたんだ」
「そうみたいね。あたしも知らなかったわ。まったく、勝手に上のほうで取引したんでしょうね」
「上? 六芒均衡とかか?」
「さぁね? とりあえず、入りなさいよ。要求どおり、シャワーも水も用意してあげるわ」

 キァハ准将がさっと手を上げると、砂漠使用の淡い迷彩色になったキャスト兵士たちが、魔女っ子に近寄る。

「いや、ちょっと待ってくれ。魔女っ子は、あれだ、すまないけど、女性キャスト兵に任せたい」

 アタシは魔女っ子の身上を配慮する。
 一度でも無理やりヤられちまったら、たとえ相手がキャストでも、男性型ってだけで怯えるかもしれない。

「いろいろ大変なのね。ポーニャ、エリシュカ!」

 キァハ准将が呼びつけた兵は、どれも戦闘仕様外装で色気もなにもないが、女性型だ。

「そこの魔法少女もどきを医務室へ。監視も女をつけろ。かかれ」
――了解。かかります

 指示を受けた女性兵たちは、魔女っ子を優しく抱えて、基地の中へと消えた。

「さぁ、あたしらも入るわよ。外にいると、関節に砂が入って痛いのよね」
「婆様みたいなこと言うなよ」
「しがたないじゃない。ランヌ、強行偵察小隊を出す。統制についてはも委任する。かかれ」
――了解。強行偵察小隊を展開、保護を求めるARKSの捜索・救難活動を開始。提示連絡コードは二番系統。かかります

 案の定、というか、やっぱりな、というか。
 砂嵐が変な形にゆがむと不思議に思ってたところから、ぞろぞろとキャスト歩兵が軍用ライフル、軍用機関銃、はてはランチャーもって現れた。
 結構前に見た連中よりも、携行火力が増えている気がする。それに、兵はみな増加装甲と、砂よけのための布を装備している。
 特にあたしが気になったのは、兵同士に会話がないことだ。
 たしか、軍用キャストどもは口頭で会話するみたいなコミュニケーションはとらず、直接リンクしちまうとか。
 光速並列思考し、光速で伝達する。意思決定と決断は常に合理解。
 それが正規軍。
 ARKSとは違って、組織による組織的戦闘に最適化された連中だ。

「正規軍も本領発揮ってやつ?」
「まだまだね。戦術級装備しか解禁されてないから。いずれ戦略級、大戦略級装備なんかの仕様許可が降りれば、もっと仕事が出来る」

 アタシとキァハ准将は、駐屯地の中に入る。
 野戦陣地と駐屯地が併設されているということは、ここでずいぶん長期的な戦線を張っていたのだろう。
 とすると、兵員の士気とかが問題にならないんだろうか、といらぬ心配をする。
 だけど、よく考えりゃこいつらは長年の戦争屋だ。
 組織戦の素人のアタシが心配する筋合いなど、ない。
 それに、駐屯地のなかを行きかう兵員は、どれもこれも職責と職務に忠実そうだった。
 少なくとも、ARKSロビーみたいにトレイン・ダンスをしている奴らはいない。
 まぁ、ダンスしてるから仕事してないってわけじゃないのが、ARKSなんだけどね。

 キァハ准将は、彼女の野営コンテナに招待してくれた。
 コンテナの中は、通信機材、電子資料を映すためのモニタ類と、応接セット、そして執務机しかない。
 こいつは、どこで寝るんだ? と思ったが、睡眠が必要じゃないキャストもいるのかもしれない、
 軍用ボディなら、そういう可能性のほうが高いし、合理的だ。

「ほら、座んなさいよ」
「コーヒーでもでるのか?」
「ま、そんなところね。シャワーはしばらく我慢して。先に片付けたい話があるの」

 彼女はアタシの前に、コーヒーサーバとマグをどんっと置いた。
 好きなだけアイスコーヒーでもホットコーヒーでも飲めということだ。
 アタシは遠慮なく、アイスコーヒーをがぶがぶ頂くことにする。
 まぁ、冷たくてうまい。
 だけど、コレじゃない感を体が主張してくる。
 乾いた体には、純粋な水に塩をたらしたものがいいんだ。だけど、それは言わない。
 この駐屯地に『有機体』が来る事態など想定していなかったに違いない。
 だって、このコーヒーサーバーはどう見たって新品だから。さっき箱から出しました的な雰囲気がぷんぷんする。
 そうじゃなきゃ、潔癖症レベルのきれい好きが、一時間ごとに分解掃除してるに決まってる。

「どう、渇きはおさまった?」
「ああ。一生分のコーヒーを摂取した」
「余裕が戻ったみたいね。じゃ、本題に入るわよ」

 キァハ准将は、アタシの向かい側のソファに優雅に座って、モニタに手をかざした。
 すると、モニタの画面は一隻の戦艦を映し出す。どうも、スペースバトルシップとは形状が違う。
 一体、こりゃなんなんだ?
 わざわざ砂漠で戦艦とか、悪い冗談か何かか?
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

プロフィール

YABUSAME

Author:YABUSAME
PSO2をプレイして、結構たちましたねぇ。
SEGAさんの公式サポーターになって随分たちました。

さて、ここにはテキストコンテンツしかありません。
華やかな画像やSS、イラストとは無縁ですのでご了承ください。
ななめ読みとかして楽しんで頂ければと思います。





PSO2_200x200_応援バナー01

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