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ファンタシースター計画16

 ものごとなんざ、決して都合よくいかない。
 都合よくいくとしたら、綿密な計画と下準備、そして運があったときだけさ。
 ミカンのやつにはどれも欠けていた。
 だから、こうなる。

「だめ。ミカンは完全に『存在が希薄化』している」

 パステルは、可愛いおめめでわけの分からん事を宣言してくれる。
 アタシは、なぜミカンが『半透明』になっちまったのか、皆目理解できない。
 昨日まで普通に飲んだり食べたりしてたじゃん。
 それがこれって、どう考えてもおかしい。
 だいたいだな、人間が半透明の存在になるなんてありえるのか?
 ミカンのやつは、あきらかにスケスケだった。
 服が透けるなんて話だったら、萌え萌えキュンで話がすむ。
 だが、ベッドの上で寝てるのに、ベッドが見えるってのは、萌えとかそういうレベルじゃない。
 人口太陽の光は、彼女の分子をすり抜けちまってるからこそ、アタシの目がやつを半透明と認識してるんだろうか?

「完全にデコヒーレンスしてる。古典的量子論のレベル」 

 おい? 分かるように説明しろ、と大声を出して暴れたい。
 だって、こいつは働き口を見つけるっていって、これからがんばろうとしてたんだぜ?
 がんばる奴は、それなりに報われたっていいだろう?
 なのに、なんで、シップの一つでデコだかヒザだかわけの分からん状態になるんだ?

「魔女っ子。わけが分からん。アタシに分かる水準で説明しな」
「ニューマンの幼稚園児くらい?」
「そうだ……アタシが馬鹿なのは認めるよ」
「バカじゃない。無知」

 オーケー。お前はアタシがバカと無知の区別がつかないレベルだって分かってくれたみたいだな。

「古典量子論だと、世界は観測によって可能性が確定される」
「わけわからん」

 アタシは半透明のまま眠り続けるミカンをじっと眺める。
 何が観測だよ。
 すやすやねてるじゃねーか。

「たたき起こしていいか?」
「やってみればいい」

 アタシはパステルの許可をもらったから、おい、朝飯の用意が出来たぞと起こしてみる。
 だけど、ミカンはティーンでキッチュでハイスクールチルドレンな寝顔のまま、起きない。

「我々は観測者ではないから、可能性を固定できない」
「……わかったよ。つまりあれだろ? お手上げって言いたい。そういうこったろ?」
「違う。存在の観測について、観測者がいないと言っただけ」

 パステルのやつは、アタシの神聖なマイルームを大学図書館か講義室にしたいらしい。

「だ・か・ら、分かるように説明しろよ」
「ジョンは500メセタもってコンビニに行きました」
「は?」
「算数の問題」
 算数ってお前、アタシを馬鹿にしてるだろ。
「唐突だな……」
「これを古典量子論にすると、『誰がジョンの行為を観測したのか』が問題になる」
 おいおい。おかしーだろ。
「ふつーは、ジョンが200メセタ菓子を買い込むんじゃないのかよ」
「ジョンが500メセタもってコンビニに行く姿を見たのはだれ?」
「しらねぇよ。近所のおばさんとかじゃないのか」
「近所のおばさんが、ジョンをみてなかったら?」
「……コンビニの店員とか」
「それもいなかったら?」
「おい! いいかげんにしてくれよ」
「誰もジョンが500メセタもってコンビニに行く姿をみていない。なのに、ジョンはコンビニに行けるの?」
「行けるだろ。本人がそれを知ってる」
「本人が『認識』出来なかったら?」
「ありえねーよ」
「あなたは、バイクの鍵をいつもどこに置いたか忘れる」
「それとコレに何の関係が……」
「あなたは、いつも行動を認識しているのに、どこにおいたか分からないという。矛盾」
「無意識ってのがなぁ……」
「その間、鍵はどこにあるの? なくした鍵は? 玄関? 靴の中? 装具のポケット?」
「……最後においた場所だとおもうけど」
「最後においた場所を知る方法は?」
「鍵を見つければいいじゃねぇか」
「つまり、あなたは鍵の合ったところが、鍵を置いたところだと『認識』したに過ぎない。そもそも、あなたは鍵を失くした、と認識するまで、鍵の存在は限りなく『可能性』の世界に包摂される」
「……魔女っ子、お前あたま大丈夫か?」
「それに、500メセタは存在するの?」
「は?」
「500メセタはその存在が認識されるまで、存在は可能性の段階に留まる」
「わかった! わかったよ。お前、ミカンが透けちまったから、ちょっとおかしくなってるんだろ?」
 一生懸命ミカンのためにいろいろがんばってたからな、こいつ。
 つらいんだろうなぁ。
「なにをいっているの? わたしは極めて優秀で冷静」
「おい」
「本来、古典量子論はミクロ系に限定されるといわれていた。だけど、フォトンの発見は量子論のミクロ系がマクロ系に適用されるとの筋道をつけた」
「あれだ、もーSFはいいよ。どうすりゃ良いのかだけ教えてくれ」

 魔女っ子のうすら暗い講義を聴いて、アタシの頭はおかしくなりそうだった。
 そもそも大して良くないあたまに、意味不明なことを注がないでくれよ。

「ミカンの存在を『認識』するための観測者が必要」
「アタシたちじゃ駄目なのかよ?」
「わたしたちはわたしたちの世界の観測者。わたしたちはORACLEによって観測されているから、存在できる」
「?」
「ミカンはORACLEに観測されていない。彼女は旧人類だから」
「アタシだってヒューマンだけど」
「ヒューマンは改良された新しい存在。旧人類とは本質的にも、存在の原因も、相違している」

 どういうことだ?
 アタシは間違いなくヒューマンなんだ。
 だけど、ミカンは違う? 旧人類?
 新人類ってのはパステルみたいな魔女っ子ニューマンとか、法院のイケメン野郎とかじゃないのか?
 ようわからんことだらけだ。

「だから、観測者を探す。手始めに……」

 魔女っ子がビジフォンと個人端末を接続して、部屋中にわけのわからん映像資料を展開する。
 アタシの健全な体育会系の部屋と、魔女っ子のオカルト魔法使いの部屋が、写真、動画、音声で一杯になる。

「この中から『観測者』たる資格を有する人物を探し出す」

 おいおい。そりゃ無理ってもんだろ。
 この画像ファイルだの動画ファイルに映ってる連中をしらみつぶしに探せってか?
 だいたい、これ全部交通局とか、ARKSの監査部とかが集めてる資料だろ。
 さすがのアタシでも、ファイル形式くらいは読み取れる。

「で、この資料はなんなんだ?」
「サブフレームを経由して、非合法に転売されていた資料」
「……お前、宗教にのめりすぎて、金使いすぎたのか?」
「失礼な。わたしは情報を売ったりしない」
「ってことは、買った側?」
「一面では。だけど、それがわたしの仕事だから」
「仕事?」
「情報保全。ORACLEから流れそうな情報を監視し、必要があれば回収もしくは改竄する」

 へー。
 道理でアタシと同じくらいしか惑星に下りないくせに、アタシより金があるのか。
 いいなー。賢いやつはさ。
 でもまぁ、アタシも正規軍から報酬振り込まれてるからな。
 っつーか、ARKS同士って、収入源がどうなってるかなんて話すことないし。

「この資料は『絶対的観測者』と接触した者たち」

 大量のARKS人事記録が羅列された。こうやってみると老若男女人全種族がARKSになってるんだと分かる。

「『絶対的観測者』は、『マトイ』などと呼ばれている」
「などと? 嫌いなのか、そいつのこと」
「わたしはかの者の存在を観測していない。だから好悪はない」
「なんだそりゃ。つまり会った事ないって事だろ?」
「違う。マトイと接触したものは、全て別個の『マトイ』と関係を持っている」
「関係を持つって卑猥だな」
「実際、露出は派手」

 映像資料がぽんっと映し出される。
 そこには銀髪のロリ巨乳のが、胸元開いた服を着て突っ立っていた。
 あれだ、廃棄区画あたりで営業してる少女売春を思い出す。

「あなたと同じくらい、肉感を主張してる」
「アタシは、動きやすい格好をしてるだけさ。だけどこいつのはヒラヒラしてる。戦闘は出来ないだろうな」
「で、問題はこれ」

 魔女っ子は、多くのARKSとマトイとかいうロリ巨乳が一緒に映った資料を見せてくれる。
 どれもコレも、違う男だったり、女と一緒に映っている。
 マトイの表情は、信頼感に満ちた笑顔のときもあれば、頼るものがいないから、しかたなくはにかんでいるようなのもある。
 しっかし……ここまでいろんな連中に手を出してたら、嫉妬の嵐で刺殺銃殺魔法殺なんじゃないのか。
 
「えらい男好き、女好きなんだな。とっかえひっかえか? 同性愛も異性愛もってところは敬意をもつけどさ」
「ヒマワリ、あなたは勘違いしている」
「いや、証拠があるじゃねえか、こんなに映像資料があれば、一万股とか百万股とかだろ」
「ところが、全てのマトイは個別に存在する」
「は?」
 
 また意味不明なことを言い出した。
 一人の人間がたくさんの男女と寝れるわけねーだろ。
 いや……だが、世の中には肉布団とか、そういう趣味の奴もいるしな。
 ハイスクールのティーンエイジャーどもの間じゃ、乱交が社会問題化してるってニュースでやってたし。
 道徳ってのが宇宙時代じゃ、権威を失っちまうからなぁ。

「このマトイは、ARKSロビー全てに『並行』して存在する。認識し、認識された数だけ関係が存在する」
「まてまて。じゃあれか? アタシが見に行っても会えないけど、会ってるやつがいるとか?」
「概ねそう。ARKSの一部は同時時間に、同一空間で、個別のマトイと『個別の関係』を持っている」

 個別の関係……というと、なんだか生唾飲んじまいそうだが、そういう話じゃない。
 とにかく、そのマトイがなんだっていうんだ?

「じゃあ、そのマトイってのを見つけて、ミカンにあわせりゃいいのか?」
「たぶん。マトイはおそらくデコヒーレンス化しているにも関わらず、並行存在になってるから」
「つまりなんだ?」
「時間軸的に先行しているマトイを見つけられれば、過去を収束させることが出来る」
「は? アタシはSFが嫌いなんだよ。恋愛とかファンタジーにしてくれないか?」
「因果は原因と結果が時間線として形成されるのではなく、未来が過去を決定付ける場合もある」
「オーケー! そこまでだ魔女っ子!」
「え? あなたバカなの? 死ぬの?」
「こまけぇこたぁいんだよ! 要はマトイをつれてきて、ミカンと恋仲にすれば良いんだろ?」
「つれてきて、認識させるだけで良い。恋仲は不要」
「へいへい」

 まぁ、何とかマトイとかいうのは探し出せるだろう。
 一応、まぁ、あてがないわけじゃない。
 あんまり会いたい人じゃないが、たのめば何とかなるかもしれない。
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

プロフィール

YABUSAME

Author:YABUSAME
PSO2をプレイして、結構たちましたねぇ。
SEGAさんの公式サポーターになって随分たちました。

さて、ここにはテキストコンテンツしかありません。
華やかな画像やSS、イラストとは無縁ですのでご了承ください。
ななめ読みとかして楽しんで頂ければと思います。





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