スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ファンタシースター計画12

 どこのシップでも、フロウウェン通りってのは官庁街の大通につける名前と決まってる。
 なんでも、ずっと昔に大活躍して、そして死んだ英雄なんだとさ。
 そういう英雄の名を冠した通りってのは、金かけて整備してあるから人通りも車も多い。
 で、ミカンが保護されてるのは、このフロウウェン通りの庁舎ビル。
 どこにでもある、インテリジェントオフィスを機能させるための箱物だ。
 やったらフォトン張りで、きらついてやがる。

「包囲されてる」

 魔女っ子が指摘した。
 おっしゃるとおりです。
 確かに、法院が入ってるビルは、周辺道路全てが武装憲兵によって封鎖され、上空には監視ヘリが飛んでる。
 アタシらは、あのイケメンが用意してくれたゲストパスで、封鎖の輪を潜り抜けてきた。
 そして、ビルをじっと見上げてるわけだ。

「ARKSの方々ですか?」
 
 武装憲兵の一人が、声をかけてきた。
 人に命令するのに慣れてそうなやつだ。
 たぶん、この封鎖の責任者なんだろう。

「アジャンの奴にいわれて、ミカンって娘を引き取りにきたんだけど」
「課長補佐から伺ってます。なんでも、セキュリティ・システムにお詳しいとか」
「あー、それはアタシじゃないな。こっち」

 アタシはずいっと魔女っ子の背中を押す。

「おや。こちらのお嬢さんで?」

 責任者のおっさんは、魔女っ子をじろじろみてる。
 確かに、物珍しいだろうな。こういう奴は。

「で、結局なにがあったんだよ?」
「セキュリティ・システムに侵入されまして。ガード・マシンが暴れてます」
「非常停止装置は?」
「信号拒絶で。今のところ。物理的に排除する方向で検討してますが、これは予算の関係からできるだけ避けたい選択肢でして」

 そりゃそうだ。
 高い金払って、セキュリティシステム構築した挙句、自分たちでガード・マシンぶっ壊したら、何のためにそんなもん導入したのか分かったもんじゃない。

「セキュリティ・システムの基本設計は?」

 責任者のどうでもいい視線を無視して、魔女っ子は本題に入る。

「あちらに技師が待機しております。あのオタクが手におえないらしくて、外部に協力を依頼したわけでして、はい」
「きいてくる」

 とことこと、魔女っ子が簡易テント下で、ハードウェアを広げてる本部に向かう。
 そのあいだ、アタシはおっさんにビルの状況を聞きだしておく。
 なんでも、中にいる連中がどうなっているのかもわからないらしい。
 一応、武装憲兵の偵察員がもってきた映像では、とりあえず無事らしい。
 ただ、個人レベルで誰が無事とか、そういうのはわからんとのこと。

 おいおい。ミカンのやつは無事なのか?

「外部からはアプローチできない。サーバールームで直接操作しないと」

 魔女っ子が残念な報告と一緒にもどってきた。

「内部と通信は取れないのか?」

 アタシは当たり前のことを訊く。

「無理。テレポータのリンクもできない」
「隔壁も閉鎖されてます。強行突入して人的に接触するしかないでしょう」
「厄介だな。頑張ってくれよ、武装憲兵さん」
「我々も努力はします。ですが、サーバー問題を解決するためにあなた方が派遣されたのでは?」
「え?」
「はい?」

 ん?
 なんかさっきから話がかみ合ってないぞ。

「いや、だからアタシらは、べつにARKSからの増援とかじゃなくて、単純に、中にいるミカンって子を迎えにきただけで」
「おや? 我々はあなた方と協力して、内部に突入する命令を受けていますよ」

 突入ったって……、アタシら別に室内戦闘訓練なんて、研修以来やってないよ?
 こういうのは専門家の連中のほうが向いてるだろ。
 こっちは地上探索とか、個人戦闘レベルの仕事がメインでして。

「――ちょっと、アジャンと連絡取るから、待ってもらえる?」
「どうぞ。我々は突入の準備をしますので」

 責任者のおっさんは、そういって部下達を集め始めた。
 アサルトライフルだの、ソードだの持った紺色の制服組がずらずらとあつまってくる。
 そんな様をみながら、アタシはイケメンにコールする。

――おや、ヒマワリさん。どうかなさいましたか?

 なにすっとぼけてるんだ、コイツは。

「どうなってんだ? ビルが封鎖されて、アタシらは武装憲兵と突入? きいてねぇぞ」
「いやぁ、面目ない。ミカンさんの安全は、おそらく護衛の検索員と憲兵が守ってると思いますので」
「あいつに何かあったら、アタシはキレるよ。キレる若者ってのは実在するからな」
「そうならないように手は打っているつもりです。あと、そちらに優秀な戦闘指揮官が向かいますので、その方の指示に従ってください」

 それで通信は切れた。
 まったく。
 報酬のない仕事だけど、仕方ない。
 ミカンのやつを保護してくれた礼の分程度は働いてやるさ。


 しばらくして、戦闘指揮官とやらをのせたシャトルシップが到着した。
 そこから降り立ったのは、正規軍の顔見知りだった。

「あら? ヒマワリ。久しぶりじゃない。元気にしてた?」

 あの准将閣下のご登場だ。
 相変わらず、尊大な態度。
 そしていつも通りというか、ニック大尉を従えてる。

「挨拶はいいから。さっさと作戦をくれよ。アタシは中に人を待たせてるんだ」
「知ってるわよ。シャトルシップの中で考えてきたから」

 そして、アタシの端末に受信音が響いた。
 添付ファイルには、作戦図と、実行計画が事細かに書いてある。
 アタシはさっさと要所を読んでおく。

「なんかこれ、訓練のときにやった気がする」
「まぁ、屋内戦闘のテンプレはあるから、ちょいちょいっと手を加えれば良いだけなんだけどね。さて、口頭で説明するわよ」

 キァハ准将がさっと手で合図すると、副官のニック大尉がどっこいしょと円卓を持ってきた。
 円卓の上に、ビルの内部構造がホログラフで映し出される。

「突入は二箇所。地上と屋上ね」

 ビルのグラフィックに、青い点が表示される。
 それは屋上と地上に配置され、そこから矢印がにょきっと伸び始める。
 いわゆる、侵攻ルートだ。

「地上からは武装憲兵隊と、ARKSが突入する。目標は地下のサーバールームね。これを操作するのは、そこの暗い娘に任せるわ」

 魔女っ子はコクリと頷いた。

「屋上からはニック大尉の特殊戦中隊デルタ分遣隊が突入する」
「え? ニック大尉って戦闘できたの?」

 アタシは思わず口にしてしまう。
 いつもキァハ准将のそばにいるから、事務処理専門のキャストだと思っていた。

「コイツはあたしの忠実な猟犬。あたしのモノが役に立たないって言いたいわけ?」
「まぁまぁ、キァハ。カリカリしちゃだめだよ」

 キァハ准将があたしをギロリとにらんできたけど、ニック大尉が取り持ってくれた。
 ちょっと心臓がきゅっとなったが、気を取り直して、ワリィと謝っておく。

「デルタ分遣隊の任務目標はミカンなる小娘を確保すること。障害排除は許可する。かかれ」
「かかります」

 ニック大尉はさっと敬礼すると、姿を消した。
 正規軍定番の、メタマテリアル技術とかいうやつだ。
 アタシのレーダにも移らないんだから、完全なステルスなんだろう。

「作戦時間は600秒。ガード・マシンのショック攻撃なんざ大したことはない。ちょいとしびれるだけね。さっさと蹴散らして、それぞれの平常業務にもどるぞ。突入時刻は今より300秒後。時計合わせ――同期した」

 アタシの端末の時刻が勝手に修正されてる。
 勝手に人の端末に侵入するのはやめてくれよ、まったく。



――突入用意。3、2、1、今。

 憲兵隊の工兵が、封鎖されてたシャッターをふっとばした。
 そこを突入口にして、憲兵達が飛び込んでいく。
 アタシと魔女っ子はそれについていく。
 とにかくアタシは、インテリな魔女っ子さまが傷つかないように護衛するだけの簡単なお仕事をすればいい。

 ガード・マシンなんざ、簡単な電気ショックもどきをやってくるだけだから、あっさりと憲兵達に排除されていく。
 中には、装甲強化型なんてのもいて、少々やっかいな事態も生じたが。
 だけど、概ね計画通り。
 アタシらと武装憲兵達は、さっさとサーバールームにたどり着いけた。

「あれがサーバーです。ARKSの方々、よろしくお願いします。我々は周辺の安全を確保します」
「了解。アタシらに任せときな」

 武装憲兵達はサーバールームの外側で防御体制を敷く。
 やっぱ、組織戦の訓練積んでるやつらは無駄がないな。

 で、アタシたちはデジタルな機器が一杯あるサーバールームに踏み込む。
 もちろん先頭はアタシ。
――異常なし。
 要所を全て確認して、魔女っ子を招き入れる。

「最新型……ではない。一世代前」

 へー。そうなんですかね?
 アタシにはそんなのわかんないけど。

「で、あと120秒しかないけど、大丈夫か?」
「どうということはない」

 彼女はさっさと端末だのディスプレイだのが並んでる席に座って、ぽちぽちとキーボードをいじる。
 予想していたよりも高速ではない。
 なんかこう、カタカタカタって高速で打ち込む姿を想像してたけど。

「意外とタイプ遅いんだな」
「信仰上の理由で、人さし指と中指しかタイピングに使えない」

 おいおい。マジかよ。
 

 30秒ほどで、やつは作業を終えたらしい。
 外に控えていた武装憲兵の一人が、中に入ってきて、マシンたちの稼動が止まったことを伝えてくれた。

「通信も回復。さっすが、パステル。博士号持ってるやつは違うねぇ」
「称号よりも、中身が大事」
「そりゃそうだ」

 まったく。おだててもニコリともしねぇやつだ。

――こちらD。交戦中。目標に近接できない

 ニック大尉から、日ごろとは違う戦争屋の声が聞こえてきた。
 ほらみろ、やっぱあの高慢ちきな准将閣下の側付程度だから、ガードマシン如きに……。
 いや、おかしい。
 それは今稼動停止したはずだ。

「ヒマワリ・ヒナタ。テレパイプをだして」
「了解」

 アタシは魔女っ子にいわれたとおり、テレパイプを出す。

「座標を指定した。大尉がいるところに飛べる」
「やっぱ、あんた役に立つな」
「役に立たない学問はない。役立たせる方法を思いつかない人が多いだけ」
「へいへい」

 アタシは貰い物のブラオレットをしっかり握り締めて、テレパイプに飛び込む。
 ビューンとフォトンのトンネルを一直線。
 正直、何度やってもなれないぞ、この感覚は。
スポンサーサイト

テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

YABUSAME

Author:YABUSAME
PSO2をプレイして、結構たちましたねぇ。
SEGAさんの公式サポーターになって随分たちました。

さて、ここにはテキストコンテンツしかありません。
華やかな画像やSS、イラストとは無縁ですのでご了承ください。
ななめ読みとかして楽しんで頂ければと思います。





PSO2_200x200_応援バナー01

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。