スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ファンタシースター計画01

 目を閉じたって、いやなことがアタシを避けてくれるわけじゃない。

――いいかい? ここに隠れているんだ

 そういって、パパがアタシを簡易シェルターに放り込む。
 お別れのキスも、最後の言葉も無い。
 パパの必死そうな顔だけが、アタシの心を強く捉える。
 すぐに障壁がしまる。
 アタシはひたすらシェルターの扉を叩いて、パパ、パパと泣き叫んでる。
 でも、扉は固く閉ざされて、なんの返事も無い。

 薄暗い非常灯のなかで、アタシは泣くのに疲れて、すみっこに座り込む。
 パパが帰ってきたら食べようとおもって、非常食には手をつけなかった。
 だけど、ぜんぜん帰ってこないから、結局アタシは非常食のパウチをあけて、食べる。
 
 どれだけ待っても、パパは帰ってこなかった。
 泣きつかれて、眠りに落ちて。
 次第に不安になって、小さな指で、扉をむりやりこじ開けようとしたり。
 結局、爪が割れて血がにじんだだけ。痛くて、しかたないから救急キットからモノメイトを取り出して、傷を癒す。
 そんなアタシの姿を、今のアタシはずっと見下ろしている。
 とっても弱くて、どうしようもない自分の姿に、アタシは腹が立ってくる。それと同時に、本能的に生きようと望む動物的な姿に、アタシは……。

――起きなさい。ヒマワリ・ヒナタ研修生
 誰かがアタシをゆすってる。
 悪い夢だから、もっとしっかりたたき起こしてくれればいいのに。
――いかんな。打ち所が悪かったか?
 いいえ。ちゃんと聞こえてます。だけど、ちょっと体が思い通りにならないだけ。
――周りの者はよくみておけ。緊急時のムーンアトマイザーはこうやって使う

 どっかの角で小指ぶつけた痛みが、いきなり全身にはしる。

「いたた……」

 痛みのおかげで、体がいうことを聞いてくれる。
 目を開くと、青空と、アタシを囲んで見下ろす連中がいた。

「悪かった! 先行しすぎちまった!」

 警戒担当の近接格闘要員ガルムがアホ面さげて謝ってる。刈り上げヘアに頑丈そうなアゴ。なんも考えてないキラキラおめめ。頭の先から足の先まで筋肉野郎だから、どうしようもない。ハンター職なのだから、先走る性格になるのは分かるけど。

「そうだぞ。バカなお前が無警戒で先行するせいでヒマワリとボクがノックダウンされるんだ。戦力が分断されたら――」

 あー、使えないインテリ気取りのニューマン、トーマが文句たれてるわ。
 こいつもメガネもやし野郎だから、いっぱつ殴られるとすぐにダウンする。しかも、詠唱をおぼえるよりも、どうでもいい趣味の世界に没入するギーク、むかしの言葉で言えばオタクだから肝心のテクニックまで適当になってる。

「あん? テメェは最初から戦力外だろうが? 基礎レベルのテクニックすらまともに使えねぇクセにによぉ?」
「何だと、このゴリラめ。ボクのフォイエで焼き肉にしてやろうか?」

 アタシの心配をそこそこに、責任の擦り付け合いし始めやがった。ホントこいつらダメダメだ。

「だまれ、連帯責任だ」

 鋭い一喝。教官だ。

「げっ」
「勘弁してください……」

 鈴よりもきれいだけど、氷みたいにつめたい教官の声が、二人をビクつかせる。

「ヒマワリ・ヒナタ研修生。異常は無いか?」

 強くて、きれいな女性教官が、アタシを心配してくれてる。
 ニューマンとして、最初から全部オーダメイドされてる命だから、アタシなんかよりずっときれいで、ずっと賢い。それになによりも、やさしい。

「はい、エスメラルダ教官」

 アタシは、なんとか上半身を起こす。指先の感覚を確認して、首の据わりも確認する。
 異常なし。
 だけど、ガルムとトーマのアホ二人組みが、ヤベぇとか髪がとか言い合ってる。
 なにいってんの? あいつら。

「ヒマワリ・ヒナタ研修生。なぜこの様な事態になったかわかるか?」

 教官がアタシに問う。そりゃそうだよね。これは研修で、課業なんだから。

「えっと、警戒しながら歩いてたら、転んじゃった?」
「ばかものっ」

 こつんと指揮棒で叩かれた。

「待ち伏せによって貴様の分遣班は殲滅されたのだ」

 エスメラルダ教官はそういって、アタシたちを待ち伏せしたやつを指差した。

「ヒマワリ、あなたの班は隙だらけ」

 いりもしないアドバイスをくれたのは、魔女っ子だ。パステルってのが名前だけど、アタシはかってに魔女っ子って呼んでる。
 見るからに暗さ全開。
 うっとうしいくらいの黒髪に、伏目がちの態度。おまけにうすら白い肌。
 誰もがそんな彼女のおどおどした態度をきらい、侮っている。
 それでいて妙に頑固。しかも正論ばっかり吐く。
 だから、皆は彼女から距離をおく。
 そんな彼女だから、こういう訓練のときですら、一人の仲間もいない。
 ま、だからこそ彼女は一人で戦う術に長けてるんだけどね。

「魔女っ子、あんたさ、本気でテクニックやった?」
「あたりまえ。あなたは侮れない。だから、徹底的にやる」

 魔女っ子はうつむいてそう言い放つ。
 あー! 目を見て話そうよ! 目を見てさ!

「と、いうことだ。ヒマワリ・ヒナタ研修生は班の統制が取れていない。そして班員は身勝手にほどがある。その隙をパステル研修生に突かれたのだ。というわけで、反省をこめて基礎体力練成プログラムを全員で三回こなすように」

 エスメラルダ教官がさっさと統括された。ああ、もう。あなた厳しいですぅ・・・・・・。
                     

 鬼の体力練成をこなし、足腰立たなくなったガルムとトーマを医務室に放り込んでから、アタシはシャワーを浴びた。
 シャワールームでは、他の女の子たちがあーだこーだといいながら、今日の訓練についてあれこれ話してる。
 ま、みんなシンケンに話し込むよね。いまじゃ訓練も最終段階。いよいよ最終段階「ナベリウス降下研修」が行われる。
 今までは何だかんだで安全な艦内訓練だったから、死人なんて出なかった。訓練ってのは死にそうなくらい苦しいけど、死にはしない絶妙な味付けで構成されてる。ある意味、感心するよ。
 
 アタシはそんな女子会なところからさっさと抜け出して、自室にもどる。
 廊下を、冷たいプロテインを飲みながら前進。やっぱ女は筋肉だよ。むだの無いナイスバディこそ戦闘力たかいだろ、って思うわけ。
 そんなこと考えてたら、珍しいのがこっちに歩いてくる。
 キャスト。
 しかも一人はやたら旧式だし。
 ヒューマンが最初に使役するための奴隷として生み出した機械生命体。ヒューマンにもっとも忠実だった第1世代キャストは、最終的にヒューマンという種を守るために、ヒューマンに対して反旗をひるがえし、その支配下に置いたそうだ。
 だけど、ヒューマンによるニューマンの開発は、その支配の正統性を覆した。結局みんなで妥協して「名誉憲章」とかいう三種族が永久に融和的であることを誓う成文法ができてから……なんだっけ? アタシ、座学の講義寝てたしなぁ。

「そこのきみ、すこしいいかな?」

 深いOD色がいやに目立つ、モノコック系装甲の戦闘型が話しかけてきた。
 いったいいつの世代のキャスト?
 対照的に、ドレスを意識した外装パーツの女キャストは澄ました態度。しかも最新鋭パーツ尽くし。なんか気に食わないな。

「なんか用ですか? アタシら『ARKS』だから、正規軍の命令は受けませんよ?」

 そう。
 アタシが珍しいと思ったのは、こいつらがキャストだったことじゃない。
 『正規軍』のキャストだったから。正規軍は大規模戦力投射と命の犠牲を省みない性質から、キャストだけで構成されてる。だけど、平時はほとんどの戦力が休眠状態で、稼動状態なのは将校とか選り抜きの下士官くらいだ。そのせいで、正規軍を見ることができるタイミングなんてほとんど無い。

「僕はニック大尉。あちらの方はキァハ=キルル准将。ARKSの『六芒均衡』ってのに呼ばれたんだけど、その人たちってどこにいるのかな?」

 なるほど。ちゃんと名乗ってからたずねてるんだから、教えてやらないとね。
 だけど、六芒なんとか? そりゃ雲の上の連中じゃん。絶対的命令権とかいう胡散くさい権力もってるお偉方。

「あー、えらい人達だったら、研修所の所長に面通ししないと会えないらしいですよ?」

 アタシはどっかのマニュアルだか規則集に書いてあったことを思い出す。

「そうか。ありがと。さっき目が覚めたばっかりでさぁ。僕らのマニュアルもう古くなってるみたいで、困ってたんだ。いきなりMARSと同期すると気持ち悪くなるし。助かるよ、ヒューマンのお嬢さん」

 お嬢さん? アタシが?

「ちょっとあんた。アタシをガキ扱いしないでくれる? アタシだってARKSだ」

 あ、やばい。つい食って掛かっちゃった。でも、正規軍なんてここんところ動いたことなんてないだろ? ずっとARKSばっかりが仕事してる。命張ってるのはARKSだ。

「ごめん。失礼だったね。僕らは長生きしすぎて、ヒューマンやニューマンが幼く見えちゃうんだ。命に限りがあるってのはいいよね。とても儚くて、人生に意味を与えられる」
「ああ? なに悟ってんの? あんたいくつなのさ?」
「あのさ、惑星ラグオルがダーカーによって陥落してからどれくらい経ってる?」
「ラグオル? なにそれ?」
「僕とキァハ=キルル准将はラグオルで戦った。それくらいかな。数字に意味はないから」

――ニック、むだ話はそこまで。いくわよ

「うん。キァハ。仕事しなくちゃね」

 ずっと後ろにいた准将が、そういってすたすたと歩き出した。なのそのドレス外装? そんな装飾型で戦えんの? でも、脚部アクチェータの動作音はほぼ皆無だ。見た目は旧式なのに、中身新型ってこと?
 っつーか、なんでARKSの『六芒均衡』と『正規軍』の准将が接触するの? ぜんぜんわかんないんだけど。


 マイルームにもどると、魔女っ子が、床に奇妙な文様の敷物を敷いて、お香を焚いてた。
 意味わかんない。
 部屋間違えた? なんでこいつがここにいるわけ?

「おかえり」

 おかえりって……。その奇妙な道具を片付けろ。部屋をかってに白黒にするな。おまえ、もうちょっと日焼けしろとか言いたいことがいろいろある。
 だけど、冷静さをなんとか保つ、

「あんたなにしてんの?」

 アタシは奇怪な儀式を始めてる魔女っ子をよけて、洗面用具を片付ける。

「ルームシェア」
「おいおい。そりゃおかしいでしょ。ここ、マイルーム。つまり、アタシの部屋」
「教官に言われた」
「教官?」

 研修中の教官命令は絶対だ。アタシの訓練班を担当するエスメラルダ教官は、無理と無茶は大好きだけど、無駄は嫌う。だから意味のないシゴキなんてぜんぜん無い。ひたすらに合理的で科学的で……つまり、最悪の教官だ。容赦ないから。
ってことは、教官なりの目論見があるってこと?

「理由はきいてる? 魔女っ子」
「わたしにはコミュ力が足りない、といってた」

 そんなのみりゃ分かるってばよ。

「あんたの理屈はわかるけど。アタシへの教育効果は?」
「リーダーシップだって言ってた」

 魔女っ子はそういって、やたら甘い匂いのお香をたきはじめた。勘弁してよね。

「リーダー?」

 ARKSは基本的に個人主義だ。チームを組む組まないも自由。軍の一組織であるにも関わらず、そういう方針を貫いている。一人で活動し、一人で死ぬ。そういうヤツだっている。
 だけど、アタシ的にはチームを組んだほうが強いに決まってると信じてる。
 仲間で馴れ合う必要なんか無いけど、それぞれが自分の役割を徹底的に果たしてくれれば、それだけで十分に生存率が上がると思う。だから、比較的チーム主義かもしれない。
 だけど、リーダーシップというのは解せない。
 そういうのは、どうしても正規軍の幹部たちのほうが上。だって、圧倒的な経験が蓄積されてるし、戦いの記憶の海に溺れてるやつが多い。さっきあったナントカ大尉やなんじゃら准将だってラグオルで戦ったとか言ってたし。どこか知らないけど。

「ねえ、惑星ラグオルって知ってる?」

 魔女っ子は謎の儀式をする手を止めた。

「ラグオル?」

 彼女は個別端末をさっと取り出して、写真を展開してくれた。
 部屋一面に、情報資料が映し出される。

「旧世紀の地球型殖民惑星。ファンタシースター作戦の一環、パイオニア計画によって殖民開始」

 さっさと導入解説をしてくれる。

「――パイオニア1の通信途絶? ブラックペーパー? WORKS?」

 なにこれ。アタシの知らないことだらけなんだけど。授業でやったっけ?

「魔女っ子、これどこの情報なの?」
「ORACLEアーカイブ」

 ORACLE? それってマザーシップの艦隊調整用につくられたSAIじゃん。

「は? なんでそんなとこにアクセスできんの?」
「情報工学特講を受講すれば、アクセス権をもらえる。サブフレームまでだけど」

 あー、そういうメンドそうな科目は全部パスしちゃったし。やっぱ戦闘基礎から演習、発展まで履修して、野外衛生で生きる術を学ぶほうがお得な気がしたし。それ以外はフリーにして、鍛錬、鍛錬、鍛錬! そういうのがやっぱいいっしょ。

「――そして、ラグオル政府はダーカー関連施設の謎を解き明かせず、侵食を阻止できなかった。だから、今から4千年以上前に放棄されてる。あの惑星周辺は無人攻撃衛星による断続的地上掃射が行われ、死の地表となっている」

 4千年って。じゃ、あいつら少なくとも4千年以上生きてるわけ? じゃ、アタシなんかガキどころか受精卵以下じゃん。γ型フォトン粒子? くらいかな。

「ふーん。アタシってものを知らないんだー」
「知ってても、知らなくても事実はそこにある」

 魔女っ子が目線をあわせずそんなことを言った。

「あんた、物知りになって気分はどう?」
「知れば知るほど悩みは多くなる。智恵が増すほど、悲しみは増える」

 なるほど。やっぱりこの子コミュ力不足だわ。

「あんたのコミュ力不足は致命的ね」
「そう?」
「仕方ない。アタシの部屋への滞在を許したげる」
「あなたの許可なんて要らない」
「・・・・・・」

 オーケー。研修所出るまでだから、我慢だって何だってしてやるわ。


 ガルムの動きは、力技で、単純。
 振り下ろす、薙ぎ払う、まっすぐ突く。とっても堅実。
 その堅実さを、間合いに癖があるパルチザンで発揮する。いわば槍使いのガルムだ。
 アタシは必死な顔してパルチザンを繰り出すガルムの動きを、できるだけ最小限で避ける。
 そして、演習用のしびれ弾を、すきだらけの足もとに打ち込んでやる。

「っつ! 卑怯だろ、飛び道具とか」

 ガルムがどすんと尻餅をつく。大腿筋が役立たずになったからだ。

「そう? 近接戦闘もできるけど?」

 アタシはなじみの武器で、ガルムの胸元を突いてやる。

「いてて、やめれ、やめろ」

 ガルムはじりじりとデカイ体を後退させる。

「やはりガンスラッシュは戦術的合理性に長けてるね。ボクが思うに、これは旧世紀に登場した銃剣概念の正当進化だと――」

 トレーニングルームのリング脇で、インテリ気取りのトーマがまたくだらないうんちくをたれ始める。

「おいおい。トーマ。次はてめぇがヒマワリの相手だぞ」

 ガルムが容赦なくトーマの長話を切る。

「え? ボクが? それは実にナンセンスだ! ボクはニューマンで、しかもフォースだ。後方支援と火力支援が仕事であって、誰かと殴りあうってのは・・・・・・」
「うるせぇ、このガリガリ野郎! 体育会系の掟に従えっ!」

 ガルムのヤツが、細っこいトーマ少年をリング上に無理やり引きずりあげる。足が動かないのによくやるよ。
 いろいろと言い訳をいいまくるトーマは、確かに殴り合いには向かない。
 アタシもガルムも、べつに殴ることをうまくなれと言ってるわけじゃない。
 殴られるのになれておけ、ということ。
 フォースだろうがなんだろうが、ダーカーとかいうのは容赦なく襲ってくる。
 集合的悪意だとかなんだとか、小難しい話があるけど、要はアタシらの敵!
 つまり、アタシたちがアレを殺す。
 そしてアレにアタシたちが殺されるかもしれない。
 そういうものだから、しのごの言わず訓練する必要がある。

「むむむ、いざ向き合うとなると、これはこれで身構えなくちゃね」

 観念したのか、トーマが細い体で、すきだらけの構えを取る。

「だけど、ボクは稀代の頭脳派・・・・・・」

 なぜかニヤリとわらってる。こいつ大丈夫かな。

「ヒマワリ――さっきから乳首がツンと浮き出ているのに気付いているかい?」

 アタシはそんなもんかと自分の胸元を見てみる。うん。パーフェクトなバストだ。鍛えた効果がでてる。

「スキありぃぃいいぃ!」

 奇声というか、情熱ないし悪意のような動きを、トーマのアホが繰り出す。
 アタシのいたいけな胸をわしづかみにしたいという、捨て身の戦術だろう。
 こいつは・・・・・・ホント、こんにゃくでも送ってやろうかしら。
 アタシはガンスラッシュの引き金を引いた。
 ナイスショットだ。股間がしびれる感覚はどんなもんだ? トーマ君。

「ぐぁあ! なぜだ! なぜ君は恥じらいが無いんだぁ!」

 股間を押さえながら、やつはうずくまった。なんだかなぁ。

「あんた、あたま大丈夫? 生き死にかかってるときに乳首だのおっぱいだの関係あると思う?」
「ボクには関係あるんだっ! 死ぬことよりも大切なんだ!」

――なんて、正直なやつなんだろう。
 トレーニング場の空気が死ぬ音が聞こえたよ。

5 
 トーマが女子たちの冷たい視線に耐えかねて、自室にひきこもってしまったことをどうこう言うつもりは無い。自業自得。発言には責任を持ちましょうってこと。
 アタシはガルムの攻撃について気付いたことを指摘すると共に、あいつがアタシの改善点を指摘する。改善に継ぐ改善こそが成長であるとかいう教官の指導方針だから。

「ヒマワリ・ヒナタ研修生。なかなかいい動きだった」

 アタシがベンチでドリンクを飲みながら一休みしてると、エスメラルダ教官が、アタシがあこがれるナイスバディを周囲に見せ付けながら現れた。まわりの女の子達はみんな見とれてる。男が好きなバディと、女が好きなバディには明確な違いがあることを実感する。
 猫のようにしなやかで、むだがなく、とにかくすべてが流線型であること。それが美。

「教官! お褒めいただきありがとうございます」

 アタシはあわてて立ち上がる。

「あー、楽に休め、ヒマワリ・ヒナタ研修生」
「はい」

 アタシは言われたとおり、ベンチにすわる。

「だが、さすがに股間射撃は禁ずる。男の研修生どもが、禁止にしてくれとウルサイ」
「あはは。すいません、つい」
「まぁ、トーマは教官の間でも図抜けたアホであると認識されている。研修所の端末セキュリティを突破して、ポルノ画像を収集して男どもに転売していたことも判明している。それは内々で処分済みだ」

 あいつ、バカなんだ、と確信した。

「ま、ヤツにはヤツなりの才能があるってことさ。あんまり嫌ってやるなよ」

 エスメラルダ教官は、ちょっと攻撃的に見られがちな瞳をアタシに向ける。
 真っ赤なショートヘアに、金色の瞳。アタシみたいなヒューマンじゃ、整形しないととてもじゃないけど手に入らないきれいな顔立ち。しかも、アタシなんかよりずっと優れた格闘技術の持ち主。
 ワイヤードランスとかいう意味不明なニンジャ武器を自在に使えるなんて、すごい。憧れちゃう。

「ま、アタシはトーマについてはあきれてますが、悪いやつだとは思っています」
「・・・・・・いやいや、悪いやつじゃないですとフォローくらいしてやれ」
「で、後ろの人たちは? アタシ、このあいだ廊下で見た人なんですけど」

 エスメラルダ教官は、無駄がきらいだ。
 だから、関係の無いヒトと一緒にいるなんてことはない。
 で、教官の後ろには、この前の正規軍キャストがいた。

「何だ。准将閣下と知り合いなのか」

 閣下? 教官のほうがずっと偉いのに。命張って、ARKSやってんのに。

「敬称なんかいらないわ。あたしはキァハ。ARKSの戦闘ノウハウを継承した新組織を正規軍の部隊として立ち上げるために、しばらく世話になるの。我侭で傲慢で合理的だから、仲良くしてね」

 准将閣下殿は、手を差し出してきた。
 アタシは一応、その手を礼儀としてとる。
 手のひらは、傷だらけだった。そこだけはとても古い傷が残ってるみたい。外装はとってもきれいでどれもこれも最新型なのに、手のひらだけ汚れてるなんて。
 温かみとかやさしさとか、そういうのがぜんぜんない二つの人工瞳にアタシが写ってる。
 華やかで、冷たい女将軍。それがこの人なんだと思う。

「准将閣下、手合わせ願えませんか?」

 アタシは握手したままぶしつけな頼みをしてみる。

「そういう頼みを聞いてやれと、あんたの教官からいわれてるわ」

 エスメラルダ教官は、何も知らぬといった顔をしてる。
 なるほど。
 やっぱり教官は無駄がない。


 アタシと教官、そして准将の三人がトレーニングルームにもどると、見たことのない『偉そう』な人たちがあつまってた。
 その連中は、みなシミュレータ試験室に移動してる。
 なるほどね。アタシと准将の決闘はシミュレータでやりあうわけか。

「教官? これはなにごとですか?」
「気にするな。お前を見に来ているわけじゃない」

 教官の一言は、ちょっと効いた。アタシなんかみてない? 上等じゃん。

「その、教官も教え子に興味ないですか?」
「私はお前の錬度をしっかりみさせてもらう。だが、正直キァハ准将の戦いぶりも気になる」

 なにそれ。
 この洒落た外装のキャスト女のどこが珍しいわけ? こんなの街中にはいくらでもうろついてるし、ちょっと気の聞いたショップでオーダーできるじゃん。
 腹立つわぁ。
 ここは一つ、近接格闘訓練成績『だけ』はトップを走るアタシの実力、見せようじゃないの。

 シミュレータの想定状況は、単純な壁がいくつもある典型的な基礎訓練場だった。
 研修所に入った一番最初の頃によくやったあれだ。
 当然、相手がどうでるか分かったもんじゃない。
 しばらくは様子見。
 壁に背中をあずけて、周囲を警戒。
 基本に忠実に。そして堅実に。
 だから音響センサを増幅して、足音を探知しつつ、モーションレーダーを確認する。
 感はない。
 音もなければ、レーダーに影もない。
 少し前に出てみるか?
 壁から壁に駆け足で移動する。
 手によくなじむガンスラッシュのグリップが、アタシを安心させる。今のところアタシのペースは乱されてないという確信が、より行動を促す。
 この調子で射程に収めることができれば……。

「そうかしら? あなたはもう死んでるけど?」

 声が聞こえた?
 アタシはあわてて周囲を警戒する。やばい、ペースを乱された?

「可愛い子ね。健康で、儚い」

 目の前にそれがいた。
 間違いない。いままでいなかったはずなのに! アタシの目がおかしいの?
 四の五の言う猶予もなく、のど元を押さえられて、壁にたたきつけられる。
 後頭部の衝撃で意識が飛びそうになる。嘔吐しそうなのをぐっと堪える。

「メタマテリアル技術ってご存知? フォトン工学技術の発展で枯れた旧世代工学の技術よ」

 苦しい。くやしいけど、いっきに締め上げられて手も足もでない。

「光速で思考し、並列に処理し、タスク管理ができるあたしに対して、あんたは何一つ対策を採らなかった。つまんないわ。センサだのレーダだの、ハイテクなんかに頼るなんて……あんたの戦闘デバイスとの情報連結にナノ秒で充分だとなぜ予想しなかった? 戦術上、それがもっとも予想される奇襲方法だとおもうけど? あたしはあんたと2回会ってる。その間にあたしを倒す戦術を編み出しておくべきだった。全てが敵になるかもしれないと考えるのが、本物の戦争屋よ」

 アタシの目の前が真っ赤になってくる。典型的な酸欠じゃないの、このドSキャストめ!

「あなた、このまま死んだほうがいいわ。生きてても有害」

 表情はまったく変わらないけど、明らかに冷笑している声だっ!
 アタシ、こんな情けない負け方をするわけ? 恥さらしどころの騒ぎじゃねぇってばよ。
 くそっ! ちくしょ……。


 アタシが目を覚ますと、医務室の天井がかすんで見えた。

「おはよう」

 魔女っ子が古臭いペーパーをよんでる。本とかいうやつだ。

「……アタシ、負けたんでしょ?」
「勝負になっていない。だから負けじゃない」

 魔女っ子ははらりとページをめくる。
 あーあ。負けたか。残念すぎる。せっかく教官に褒められたのに、何の意味もないじゃん。
 しかも指一本触れられなかった。こんな情けない負け方は、最初にエスメラルダ教官とやりあったとき以来かもしれない。
 そしてアタシは自分の首元をさわってみる。ナノフィールドによって治療中だった。

「ちょっとあんた、アタシってかなりひどい状態?」
「首の骨に損傷がある」

 げ! なに平然と言ってんの? あの女将軍はマジで殺すつもりだったわけ? どんだけ危ないやつなのよ。

「マジないわー」
「教官は抗議にいった。その間、わたしが看病する」

 そういって魔女っ子がなにやら唱え始めた。

「なにブツブツいってんの?」

 特段レスタとかそういう回復テクじゃなさそう。アタシは少々気味が悪くなってくる。

「……お祈りした」

 お祈り? なに、なんかしら祈ってくれたわけ? まあ、悪い気はしないけどさ。

「そ、そう」
「そう」

 やっぱり、アタシ、この子苦手だわー。
スポンサーサイト

テーマ : ファンタシースターオンライン2
ジャンル : オンラインゲーム

ファンタシースター計画02

 なんとか首の骨がまともになってくれて、ほっとする。
 もしこれがずっと昔だったら、いまごろ体の一部を機械化しないといけなかったかも。
 で、調子合わせに槍使いのガルムと手合わせナウってやつ。
 まぁ、いつもどおりガルムを追い詰めることはできるんだけど、いまいちキメの一撃をぶちこんでやれない。それに、どことなく格闘より射撃の比率が高くなってる。

「おい、ヒマワリ! テメェ、踏みこみためらってるだろ?」

 ガルムがあほ面下げて図星をついてくる。筋肉ばっかでデリカシーのないやつだ。

「もっと女の子にやさしくしろよ、ガルム」と言っておく。
「都合の悪いときだけ女の子になるのか、ヒマワリ?」

 ガルムのうなるパルチザンがアタシの頬をかすめる。
「僕は賛成ですね。ヒマワリが女の子をアイデンティティにしてくれれば、なかなかいい線いくと思います。これは僕が解析したヒマワリの身体データで……」

 リング脇でトーマのやつが、メガネの下でうすらさむい目をしてニヤついている。こいつは駄目だな。真正のHENTAIだ。

「おい。トーマ、あんたもリングにあがりなよ。アタシにさわらせてやるぜ?」
「……遠慮しますよ。確かにあなたのバディは魅力的ですが、僕は最近、悟りを開いたのです」

 あほなことを言っているトーマは無視して、ガルムに突きを放つ。
 だけど、アタシのガンスラッシュはやつの槍のフォトンにするりと受け流される。
 やっぱりだ。
 アタシ、こないだの負けで、体に怯えみたいなのが染み付いたみたい。
 正直、なさけないけど、訓練で消していくしかない。こういうのって悩んだって仕方ないじゃん。

「――このように、パステルさんの身体データは大変興味深く、それでいてミステリアスで」

 アタシはつい手がすべって、リング外のトーマの眉間を撃ち抜いちまった。
 いけないいけない。気をつけないと。

「ヒマワリ、お前結構ひどいやつだな。あいつのメガネ割れちまったじゃねぇか」

 ガルムが引き締まった顔をほころばせる。

「誤射ってあるでしょ? ガルム」
「間違いねぇ、あれは誤射だな。そういうことにしとくぜ」

 そして、本気で殺すつもりかと疑いたい連続突きを繰り出してきやがる。
 まったく。戦いは肉体だ! ってのはよく言ったもんだね。
 でも、それは真実だ。
 アタシたちは体を鍛えて、技術をみがき、もうすぐ始まる最終研修を終えなければ。
 そして、ARKSになる。
 誰にも邪魔されない。誰にも強制されない。究極のワンマンアーミー。
 そう。アタシはARKSになるんだ。
 でも、その後は?
 ガルムの首筋にガンスラッシュを突きつけて、そんなことを考える。

「――まいった」と奴がいった。正直、アタシもまいってるのかな。


2 
 修了試験ということで、大講堂で、ながったらしい所長の演説を寝ながら聞いてた。
 けど、魔女っ子に起こされた。
 ここのイスは寝心地がいいってのにまったく。

「なに、魔女っ子? アタシは修了試験のために体力温存中なわけで」

「次、あの人の話」

 魔女っ子のヒミツで一杯のおめめが、さっきまで空席だった来賓席に向く。
 その視線を追うと、やつがいた。

「女将軍じゃん。あいつ……」 

 アタシはあのときを思い出して腹が立ってくる。あいつにたいしてじゃない。何もできなかったアタシに対してだ。たぶん。そういうことにしておく。
 そして、女将軍が所長に代わって壇上に立った。
 やつは正規軍式の敬礼をしてきやがった。アタシらARKSはARKSの敬礼を返す。

「――地獄への道は善意で出来ている。我々の歴史は常にそれを証明してきた。あなたがたARKS候補生達は今日いよいよ有名な修了研修『ナベリウス降下』に参加するが、それもまたこの歴史的因果律に縛られていることを忘れないで欲しい。君たちの隣りにいる仲間が、死者の列に加わろうとするとき、君たちは善意をもって助けようとするだろう。そのときに思い出して欲しい。地獄への道は善意で出来ているということを。あとは、君たち次第だ。たとえ仲間が倒れていても、それを見捨てることすら許されるのがARKSだそうだ。そして、君たちはARKSの一員になろうとするものたちだ。心に従い、その心の赴くままに生と死に向き合ってくれ。以上」

 何人かのマナーのなってないARKS研修生が、正規軍は引っ込めーと罵声を向けている。
 なるほど、このありがた迷惑な演説を、ARKSを馬鹿にしたものだと捉えるのも出来なくはない。
 けど、アタシはあいつに殺されかけたから分かる。あいつは別に思ったことを言ってるだけ。
 ほかには何の意図も無い。
 で、アタシは魔女っ子の意見を聞いてみる。

「どう、魔女っ子。あいつの言ってること」
「わからない。正しいかどうかではかる言葉ではない」

 ふーん。なんの感慨もなさげね。
 仕方ないからガルムとトーマのほうをみてみる。
 だめだありゃ。ガルムは寝てるし、トーマはなにやら個人端末をいじってニヤついてる。
 地獄への道は善意でできている、ねぇ。
 で、地獄ってなに? アタシその言葉はじめてきいたんだけど?


 降下用シャトルシップのひらかれたハッチに、アタシは吸い込まれる。
 何度か訓練で乗ったけど、今回は本番で、今後はここに乗るのが仕事になる。

「俺、あんまり飛行機好きじゃないんだよ。なんかこう、落ちるって言うか」

 ガルムの奴が、筋肉だるまのくせに妙な小心者アピールをしてる。

「データ上は結構落ちてるからね。ま、そうはいってもせいぜい不時着だから。なーに、いざとなったらこの僕がなんとかしてあげるから心配しなくていい」

 なにやらトーマが自信ありげにいってる。

「アンタ、なんかできんの?」と聞いてみる。

「ふっふっふ。君らは知らないだろうが、僕は操縦士免許を持っている」

 別に誰もおどろかなかった。ニューマンが幼い頃に趣味がてら航空機操縦を学ぶなんてのは、よくきくことだし、機械いじりばっかりしてるトーマがそうであっても変ではない。
 むしろ、ガルムが持ってるといったらおどろいたかもしれないが。
 そして、トーマはそれからこのシャトルシップのエンジンがどーこー薀蓄を語り始めたが、魔女っ子がそれを無視して、倉庫端末をいじって座布団を転送し、床にしいて座った。

「ずっと昔のジャポンのアンティークじゃん。アタシのは?」
「ない」
「ルームシェアしてるんだからさー」
「ない」

 そういって魔女っ子のやつは、ドリンクを飲みながら本を開く。
 信じられねぇやつだ。しかたないから、アタシは窓に背をあずける。
 外は発進を待つシャトルの列やら、わいわいしながらシャトルに乗り込む研修生なんかがわらわら見えて、なんだか雑然としてる。それがシャトルゲートの特徴だけどね。

「ごとーじょーいただきありがとうございます。当機の機長をつとめるニック大尉です」

 ニック? なんかきいたことあるような。

「当機はナベリウスに向けてフライトするから、みんな添乗員の指示に従ってよ」

 妙に少年じみたしゃべりかただが、声色は男性型キャストのそれだ。

「添乗員だってよ? トーマ」ガルムが妙に色めきだつ。
「まさか……ぴちぴちのおねぇさまが――」

 あほだねぇ、こいつらは。アタシはあきれてなにもいえないよ。
 どーせ、教官オチだろう?

 しばらくすると、テレポーターから『添乗員』が現れた。

「鼻の下伸ばした馬鹿猿どもに、有害な人間の娘か。まぁ、楽にしろ。そこの暗い娘はそのまま好きにしろ」
「なんで……」アタシは唖然とする。
「最新型のキャスト! 最高です! その御足で僕の股間を踏んでください!」

 おいおい、トーマが興奮てやがる。あほだねぇ。

「ARKSというのはいいかげんなのね。あたしが今回あんたらの試験監やるキァハ=キルル准将よ。そこのあんた、踏まれたいなら踏んであげるわ。ただし子孫はあきらめなさい」

「はい! あきらめました!」

 トーマはM字開脚をして、何かを期待している。
 だが、キァハ准将は腐った生ゴミでもみるような一瞥をくれてやり、やつを無視する。

「なんでアンタが試験監なわけ? ARKSじゃないし!」

 アタシは抗議する。だって、正規軍がARKSを監督する権限なんて無いし。

「細かいことはいいのよ。ちゃんとデータログは全部のこるから問題ないわ。それに、あたしはあんたらを落とすつもりなんて無いし」
「ホントは新型シャトルシップに乗りたかっただけだもんね、キァハ」

 機内放送が割り込んでくる。なるほど、パイロットはあのOD色の量産ボディのやつか。
 でも、キァハ? 妙になれなれしいけど、こいつらどんな関係なんだろ?

「だまれ、ニック。命令だ」
「ご、ごめん」

 そして機内放送がぶつ切りになる。

「ん。まあ、あたしがいることは気にしない。あんたらは降下して、予定のルートを通って、またここに帰還するだけね。簡単な試験だこと。ま、せいぜい頑張りなさい」

 言われなくたって頑張るっての。
 まったく。


 トンネルを抜けると、そこは野生の国だった。
 魔女っ子からふんだくった本の最初の一節をもじってみると、案外しっくりくる
 草の緑臭さに、足もとをいく謎の虫。よくわかんない羽虫がアタシの緊張で汗ばんだ肌にひっついてくる。まじファックね。
 研修のときの重力と一緒。足腰にかかる重さは、アタシの筋肉となじんでる。

「ガルム、トーマ、魔女っ子。準備はいい?」

 アタシが後ろを振り返ると、倒れたガルムの上にみんな重なっていた。

「……なにしてんの?」
「降下失敗」

 魔女っ子がそういって、ずるずると這い出す。トーマとガルムにはさまれてたわけ。

「魔女っ子、そいつらたたき起こして」
「やってみる」

 魔女っ子はそういって、ロッドで二人をつんつん小突く。

「っつ……死んだ? 俺は死んだのか?」
「僕は、死んで神になった?」

 やつらは起き上がって、適当なことをくちばしってる。
 まったく。この二人はホントどうしようもない。
 太陽と、青空がそこにあるなら、あんたらは生きてるっての。

「魔女っ子、MAPとルートだして。そういうのアンタ得意でしょ」
「……壊れた。そこのふたりのせい」

 魔女っ子のやつが、やっとこさ立ち上がった二人を、醒めた目でみてる。
 それ、睨んでるってことなのかしら?

「出だしから最悪ね」

 アタシは耳元のイヤリングをさわる。小型通信デバイスもおしゃれしないと売れないらしい。

「あーあー、こちら研修ユニット212。『空飛ぶ絨毯』きこえる?」

 定められた符丁にそって、この青空を気ままに観測飛行してる女将軍とその部下の降下艇を呼び出す。

――こちら空飛ぶ絨毯。やっぱり重力のある空を飛ぶのは気持ちいいわ。ほら、ニック、そこの鳥の群れみえる? 録画しなさい! 録画!

 おい。試験監の仕事してよ。

「ユニット212のパステルのデバイスが損傷した。交換品を送ってよ」

――無理。そんなの自力でなんとかなさい。あ、あれ湖じゃない? 青いわー

 パステルがアタシをみてる。
 申し訳ない。交渉失敗ってことで、アンタにはアタシのを貸すわ。


 ひらけた森の中を、ひたすら歩く。
 筋肉壁のガルムがパルチザンをゆうゆうと抱えて班の先頭をすすむ。背丈ほどもありそうな草をばっさばっさ刈りながら、アタシらの進路を作ってる。
 ガルムのうしろを、ひょろニューマンのトーマがおっかなびっくりついていく。そんなびくびくしなくたって、なにも出てきやしないって。
 で、魔女っ子がアタシのデバイスを使ってガルムを後ろから誘導してるわけ。アタシは最後尾で魔女っ子を守りつつ、後方警戒ってとこかな。
 ときどき木々の枝をつたって、影が走る。たぶん原生生物だろう。
 惑星ナベリウスは豊富な森林に恵まれてるから、当然水にも恵まれてる。あちこちには湧き水が流れ出てて、それが足もとを滑らせる原因になったりする。さっきもトーマが滑ってたな。

「チェックポイント11番通過。あと4つ」
 魔女っ子がデバイスを見ながら報告してくる。全部で15行程の試験だから、もう3分の2は終わったことになる。歩いて歩いて歩くだけの楽勝で、退屈な最終試験だとおもうけど。

「魔女っ子、なんか通信入った? あのお気楽女将軍から」
「ない。別の通信が入ってる」
「どんな?」
「今、スピーカに切り替える。ちょっと待って」

 魔女っ子の暗い瞳のようすがちょっとおかしい。わるいものでも食べた?

 とりあえず、アタシは鼻歌歌いながらずいずい進むガルムを呼び止め、トーマとともに周囲を警戒させる。

――こちら、研修ユニット767、座標D-5! 誰でもいいから来てくれ!

 同じメッセージがリピートされる。メッセージには明らかな焦りと共に、交戦音が混じっている。

「D-5って、僕らのルートから遠いじゃないか。わざわざルートを外れて助けに行く義理はないと思うね。僕らはさっさと自分たちの課題をクリアすべきだよ」

 トーマが意見をねじこんでくる。確かにそういう見解もありだ。

「俺は助けるべきだと思う。この研修がおわりゃ、みんなそれぞれARKSだ。ここで助けておけば、それぞれがまたピンチのときに、助けてくれるかもしれねぇだろ」

 なんだかんだガルムは理由をつけてるけど、助けたいだけでじゃないの?

「魔女っ子、あんたはどう?」
「助ける。お告げがあった」

 お告げ? ま、魔女っ子らしからぬ良質なコミュニケーション能力だね。アタシは評価するよ。

「D-5に向かう」

 アタシはそう決める。追い詰められてるやつは、さぞ怖い思いをしてるはずだ。
 そういうのって、あんまり見逃せないと思うわけ。

「さっすがヒマワリ。分かってるじゃねぇか」ガルムが熱く同意してくれる。
「まったく。お人よしすぎるんだよ君たちは。ま、だけど僕のフォイエがあれば問題ないさ」

 ほらな、トーマのやつもアタシがきめりゃ付いてくる。あいつは何だかんだで女の尻を追っかけていたいだけのやつだからな。


 コードイエローなんて言葉、初めてきいた気がする。

――周辺のARKSは警戒して下さい

 だとさ。警戒なんか役に立たないから、迎えの降下艇よこすか、航空支援しろっての。

「魔女っ子! コードイエローってなに?」
「ダーカーの反応がある。そういう意味」

 オーケー、魔女っ子が静かだから、アタシらも落着いていられるじゃない。
 めっちゃピンチなのに、あんた眉一つ動かさないなんて大したもんさ。

「うぉ!」

 先頭のガルムのやつが、何かと切り結んでいる。

「ガルム! なにがあった?」
「ウーダンだ! この猿が!」

 パルチザンが大きく振るわれる。高濃度フォトン刃が、人並みにでかい猿を貫く。

「まずいよ。侵食されてるみたいだ。原生生物たちが凶暴化してる!」

 トーマはへたれ野郎ぶりを発揮して、逃げ回ってる。

「凶暴化? 操られてるのまちがいじゃねぇのか!」

 また新手のウーダンの大猿と切り結んでるガルムが、汗だくになりながら文句をたれる。
 アタシは愛用のガンスラッシュをさっとかまえて、鍔迫り合いになってるガルムを助けることにする。
 引き金をひくと、見事命中……あれ、あんまり効いてないかも。

「おいおい! アタシまちがえて水鉄砲もってきた?」
「生命反応が消えるまで、侵食された生物は抵抗する。それだけのこと」

 要は、タフになったってことね。いいじゃないの。タフなのは嫌いじゃない。
 魔女っ子がお得意のテクニックで敵を一掃してくれることを期待して、アタシは魔女っ子に猿どもが接近しないように、走り回る。
 斬っても突いても撃っても、一撃で致命傷とはいかない。なるほど、なかなか骨があるじゃない。
 ウーダンの忌々しい体当たりで、アタシはふっとばされた。
 ちょー、痛い。
 正直、尿がちょっと漏れた。まじありえない体当たりの重さなんだけど。
 訓練とは全然違うじゃん。

「っつ……トーマ、回復テクで応急措置を!」

 アタシはトーマを探すが、どこにも見当たらない。あのひょろニューマン、どっかの草陰にかくれやがったな。女の子おいて逃げるなんざ、カス以下の男だね。
 とにかく横っ飛びに転がって、ウーダンの頭狙って撃ちまくる。ガンスラッシュって剣としても銃としても使えるってのが売り文句だけど、どうもどっちも中途半端。
 おかげで、ウーダンの頭をミンチにするにはかなり連射しないといけない。

「やっと三つ……ガルム! 魔女っ子! トーマ! 無事だったら叫ぶなり死んだなり言え!」
「ちっきしょう! 左腕やられた! フォンガルフに食いつかれちまった!」

 草の向こうから、食いしばった声が聞こえた。
 え? あのでかい狼もどきまで出てきちゃってるの?

「今、援護する!」
「大丈夫だ! パステルが助けてくれたからな」

 草の向こう側で、鋭利な無数の氷塊が放射状に広がった。
 その直後に光が走る。雷みたいだけど、れっきとした高圧電流系のテクニックだ。
 さすが魔女っ子。研修中に一人でずっとやってきただけあるじゃん。
 アタシもいそいでそっちに向かわないとね。
 だけど、まず、アタシを狙ってる狼もどきを片付けないと。
 立派な牙に派手なたてがみ。それに攻撃的な前足。いいじゃない。戦うために生まれてきたって感じじゃないの、あんたら。
 相手になってやる。
 そして殺してやる。
 だって、アタシは死ねない。
 アタシは、今日からARKSなんだから!


 ちきしょう! ちきしょう! マザーファッカー!
 ダーカーってのはこんなに厄介なのかよ!
 アタシはガルムの巨体を引きずりながら、ガンスラッシュを射撃モードに切り替えて、がむしゃらに撃つ。
 D-5? そんなとこで助けてなんて言ってる連中なんざ無視する。

「魔女っ子? あとどのくらい凌げる?」

 魔女っ子は一人で四足の化物どもに、ガチンコ炎爆撃中だ。
 いいねぇ。昆虫もどきが焼ける姿は嫌いじゃなくなってきた。
 ダーカーが実体化しやがった。空間に情報として複写されるとかなんとかわけわかんない理屈はどうでもいいけど、その唐突な出現は勘弁して欲しい。
 おかげでガルムのバカがざっくり腹をやられちまった。
 ピンクのアンコが全部出ちまう前になんとか助けられたけど、やつは動けん。

「もう疲れた」

 そういって魔女っ子がふらつく。おいおいおい、そこでアンタが倒れたら、アタシらは死ぬっての。

「トーマ、ガルムは任せたよ!」

 アタシはへっぴり腰でなにもできないもやし野郎に、筋肉馬鹿をあずけて、魔女っ子を助けに行く。死ぬなよ、死ぬなよ、誰も死ぬなよと念じてみる。念じるより剣を振れっての、アタシ!

「ヒマワリ! 助けてくれ! 僕だけじゃなんとも!」

 後ろからトーマの悲鳴が聞こえてきた。
 アタシはふらつく魔女っこを支えたり、ダガンとかいう膝丈くらいあるでっかい昆虫もどきをぶった切って忙しすぎる。

「こっちも手一杯だ!」

 アタシは魔女っ子がのテクニックのおかげで、何とか傷だらけになる程度で済んでる。
 もしこの子がいなかったら、アタシは死んでる。

「おい! トーマ、返事しろ!」

 アタシは交戦音が途絶えた後ろを振り向く。
 ?
 あの二人はどこだ?
 なぜダガンの群れだけが、そこにいる?
 なぁ、なんでトーマの首だけ、そこに転がってるんだよ……。 


 数というのは圧倒的な力なんだと理解した。
 だから、アタシは魔女っ子を抱えて、森のどことも分からんところを走り抜ける。
 とにかくあとで、ガルムとトーマの死体は回収しなくちゃ。
 あの黒塗りの昆虫どもが、トーマの細っこい首をあっさり跳ね飛ばしたときから、勝負は付いてた。
 どうして僕が、と信じられない目をしていたのはずっと忘れられないだろうな。
 そのあと、あいつらは動けないガルムの体を解体しやがった。
 人からばらばらの臓器に分けられていくガルムをみていられなかったアタシは、へばった魔女っ子を抱えて、逃げた。
 逃げた。
 そう、逃げたんだ。
 やつらはガルムとトーマをバラすのに夢中で、追ってこなかった。
 正直、ここまで自分がどうしようもないヤツだとは思っていなかった。
 体が勝手に、そういう行動を選択していただけ。
 段々走るのが限界に近づいてくる。
 そして、アタシは乱雑に魔女っ子をそこらに放り投げて、吐いた。
 口の中の酸っぱさと、そのねばねばした胃液の感触に悪寒を覚え、さらに吐く。
 そして、へたるように傍の大木に寄りかかり、座り込んだ。

「……大丈夫?」

 頭から血を流してる魔女っ子は、アタシを心配してくれる。

「大丈夫にみえる?」
「右手人さし指骨折。左肩甲骨破砕、大腿部裂傷多数。腹部裂傷は深刻」
「そういわれると、かなりマズイってのが分かるわぁ。容赦ないんだね、あんた」

 静かな口調で、やばげな事実を一杯いわれると闘志がなえるね。

「……助けてくれてありがとう」と魔女っ子がいった。

 助ける? そんなつもりは無かったよ。アタシの体が勝手にアンタを抱えてたのさ。なんでそうしたのかは自分でも分からない。
 わかってるのは、なかなかいい練習相手だったガルムと、馬鹿野郎だったトーマとはあっさり二度と会えなくなってしまったこと。
 もし、アタシがもっと強かったら、二人を助けられたのかな。
 頭の中がもし、という仮定で一杯になる。最悪だ。こりゃメンタルヘルス行きだな。

――現時点をもって、コードイエローからグリーンにシフト。ダーカーの殲滅を確認

 通信の女の子がなんか言ってる。正直、これほどイラついたのは初めてだ。
 殲滅? やられたのはこっちだっての!

――研修生の皆様は、現時点を持って研修終了。生き残った方、おめでとうございます

 おめでとう、か。たぶん、マニュアルかなんかに、そういう風に締めくくるように書かれてたのを、そのまま読んでるんだろうね、オペレーターの女の子はさ。
 アタシは、そういう無神経さが気に食わないし、遠い母船で好き勝手通達を発しているだけの連中のサポート力の無さにあきれる。

「ARKSになった」

 魔女っ子がうつむきながらいった。珍しく感慨深げだ。

「おめでとう。アタシが祝福してやるよ」
「ありがとう」

 そういって、魔女っ子は倒れやがった。頭の傷が相当深かったらしい。
 アタシももう駄目だ。ARKSになった。
 ま、わるくない人生の締めくくりだったさ……。

テーマ : ファンタシースターオンライン2
ジャンル : オンラインゲーム

ファンタシースター計画03

 アタシはほとほと病院と縁があるらしい。
 目を覚ますと、アタシは全裸でみょうちくりんな培養ポッドにぶち込まれてた。
 いわゆる重傷患者ってやつだ。
 そして、包帯で頭をぐるぐる巻きにした魔女っ子が、あたしを見てる。

「元気?」と彼女が言った。

 元気だったらこんなポッドに入ってるわけないだろといいたくなる。
 が、言おうにも口が何じゃらよくわからん医療機器で塞がれていたせいで話せない。


 女性キャストの外科医のおかげで、アタシは一命を取り留めたらしい。まぁ、確かに医者はニューマンかキャストのほうがいい。精密だし、病理探求は合理の極みだ。

「――ということで、左肩甲骨は代替部品ですので、少々違和感があるでしょう。それもしばらくすれば慣れますので、何かあったらこちらにメールください」

 女性キャストの医者は、アタシに情報カードをくれる。あとで端末に読み取らせればいいやつだ。

「あのー、この病院って?」
「ここは軍病院です。とはいっても、兵隊さんたちはみんな冷凍睡眠かログオフ待機ですので、いまは一般の方に開放しています。えっと、あなたはキァハ准将の紹介で入院していたようなんで、治療費は軍に請求しておきます。じゃ、お大事に。次の方どうぞー」

 なにやら取り付く島もなかったけれど、とにかくアタシは退院らしい。
 
 診察室をでると、よりいっそう暗さをました魔女っ子が、うつむきかげんで突っ立っていた。
 どうやら、待っていてくれたらしい。

「あなたが生きてて、ほんとに良かった」

 そう、魔女っ子が言ってくれた。
 アタシはよくわかんないけど、その言葉が嬉しくて、仕方なかった。
 だから、魔女っ子を抱き寄せて、しばらくだまってることにする。
 生き残ったのは、ただ運が良かっただけだ。
 実力なんかじゃない。
 ただ、あの二人より運が良かっただけ。
 だけど。

「泣いてるの?」

 知らないよ。
 ただ、アタシは悔しかった。
 二人を死地に向かわせたのは、アタシの決断だった。
 アタシが通信を無視してりゃ、物事はもうちょっと簡単に終わっていたかもしれない。
 たぶん、自分の情けなさにうんざりしたから泣いてる。
 許しがたいよね。
 だって、自分のために泣いてるんだぜ?
 人のために泣けるやつが、最強だとしたら、アタシは惰弱なやつだ。 

「なんで、アタシ生きてるんだろ?」

 理由なんかないだろうけど、ここは魔女っ子の不器用なやさしさに甘える。
 だって、こいつ、アタシをよしよしってなでてるんだぜ?
 信じられねぇ。

「救助されたから。わたしは倒れる前に救助ビーコンをだした」

 魔女っ子が愛らしい無愛想な声で教えてくれる。
 だがな、それはお前、アタシが求めてる答えとはちょっと違うんだけど。
 ま、いいか。
 
 あれ?
 
 じゃ、誰が助けてくれたんだろ?
 まぁ、たぶんそいつはお人よしなんだろう。
 感謝するぜ、お人よしさん。


『星々を往く巨大艦艇の群れである外宇宙航行船団オラクルは、船団市民にとっては世界そのものといっていい。
 我等が世界樹たるマザーシップを中心に幾百も展開するアシモフ級ドーム型居住艦は、巨大な亀が、甲羅をゆりかごにして、人が想像できない数の命をはぐくんでいるかのようだ。それだけにとどまらず、規則的な距離をおきつつ、無数のHGウェルズ級航宙船が百万単位の人口を宿し、自治区を営むことで、惑星に居住していたか頃のような『社会』というものを擬似的に作り出している。
 これら船団の命を守るために、船団外周は、無人防衛艦隊のほか、軍関連の諸艦艇が、一糸乱れぬルーチンワークを日々行っていることは、最近忘れられつつある。
 なぜこの船団が生まれたのか。この船団の目的は何なのか。そんな自らの由来を忘れてしまいそうになるほどに、この船団は長く旅を続けている。
 このオラクル船団以外にも、幾つもの外宇宙航行船団があることを、人々は知っているし、それと接触することもある。だが、それも船団市民にとっていわばお祭り騒ぎ程度のものであり、そのことが何かを動かすことも無かった。
 つまり人々はもう惑星を必要としていない。
 人々の心は次第に日々の生活に向けられ、快適で管理された都市船を我が家のように感じはじめている。多くの人にとって、居住可能惑星の発見は、新しいフォトン粒子が発見されたのと同じくらいに学術的な話題にしか過ぎない』
 
 アタシはこのくそつまらない配信記事を、さっさと削除する。
 そして、安物のベッドのうえでごろりと転がる。
 床には魔女っ子が勝手にまた謎の秘術道具セットを入手したらしく、それを広げてなにかブツブツいってる。
 まぁ、こいつが変なやつなのは分かってるし、大丈夫。
 なにか宗教的な理由なのかもしれないからな。
 宇宙統一教とか、ラッピー真言協会とか。知らないけどさ。

 そして、アタシは壁際に飾ってある大剣と、杖をみる。

 退院した後、すぐにガルムとトーマの遺品を整理した。
 二人とも身内というか、家族というか、そういうのがちゃんといたらしい。部屋は武器をのぞいてすっかりきれいになっていた。
 
 で、エスメラルダ教官が言うには、武器は形見分けにしてくれといっていたらしい。

 あのとき、アタシは教官に食って掛かった。

「なんで、なんで、救援がなかったんですか!」

 今思えば、かなり甘えた台詞だ。
組織ではなく、己の身一だけを信じるのがARKSの基本だってのに、あたしゃどうかしてたんだね。
 その後?
 教官に殴られたよ。
 お前は、二人を侮辱したってね。
 それっきり教官とも連絡を取っていない。恥ずかしくて、とりようがないだけなんだけどさ。

「ねぇ、魔女っ子。あんたもアタシも正式にARKSなんだ。もうルームシェアの命令なんて無効さ。アンタも好きなように出て行っていい」

 アタシは妙な香を炊きはじめた魔女っ子にはなしかける。

「どうして?」魔女っ子は両手を合わせて、なにやらゆっくりと上下させている。

「いや、気にしにないで。アンタがいいなら好きにしてくれていい」

 そう。正直、救われてる。
 魔女っ子はいつもうつむきかげんで、アタシの目を見て話すことなんかほとんどないけれど、一人で鬱々としているよりはずっとマシだ。
 たぶん一人でいると、部屋のものめちゃくちゃにして暴れて、意味のない自己嫌悪につぶさていたと思う。

「お告げが、あった」

 魔女っ子が、こっちを向いた。
 お告げってあんた……やっぱなんか信仰してるわけね。

「なに?」

 魔女っ子の信仰心を馬鹿にするわけにはいかないので、ちゃんときいてあげる。

「晩ごはんは、カレーがいい」

 ……ほんとにお告げなのか、アタシにはまったく分からない。


 ARKSになることと、ARKSであり続けること。この二つには大きな違いがある。
 その違いのキモになってるのは、内的動機だ。
 報酬とか、惑星に降りられる特権だとか、そういうのは外的動機で、与えられるものに過ぎない。
 内的動機ってのは、それぞれが自分勝手に思い込んでいるもののこと。
 いわば、思い込みの力ってのが、ARKSであり続けるためにはもっとも重要なんだ。
 そして、アタシの動機は単純明快。
 復讐というか、敵討ちというか、そういうもの。
 1にダーカーを殺し、2に敵対する原生生物を殺し、3,4がなくて、5に敵を殺す。
 そもそもガルムやトーマが死んだのも、アタシがどっかのアホを救援に行くって決めたせいだ。
 後悔はあとからするもんだっていうけど、まさにその通り。アタシは後悔してる。
 ARKSの性質が極度化された個人主義で、指揮命令系統なんてほぼ皆無の点から、責任というのは自己責任主義に帰着する。パーティリーダーを信じて、それで死んでもリーダーの責任ってわけじゃない。
 信じたほうの責任なんだ。
 でも、それは社会的サンクション(懲罰)がないだけだ。
 心は、ずっと責め続ける。

――以上。要点をまとめますと、フォンガルフを討伐すればいいだけです。

 任務をARKSに按配する受付のお姉さんが、たんたんと概要を説明する。
 アタシは了解、といって受注のためにARKSの身分証をかざす。この身分証に、アタシの活動の履歴、成果、いわば戦歴が記録されていく。
 隣りの受付で、魔女っ子も同じ任務を受注している。
 べつに、二人で同じ仕事をやるって話し合って決めたわけじゃないんだけど、自然の成り行きでそういう流れになっている。
 
 アタシらは、この馬鹿デカイ移民船団から発進する発着場にむかう。
 結構なARKSとすれ違うけど、べつに知り合いって分けじゃない先輩連中が慣れた様子で行き来してる。アタシの力量じゃ、まだまだ使いこなせそうにない武器を持ってる奴もいるし、やたら仲良し集団みたいなパーティもいる。
 アタシと魔女っ子は、指示された降下艇『フライングスパゲッティ』を探す。

「なんだよ、フライングスパゲッティって」

 アタシはナンセンスな機体名にあきれる。

「神」

 とんでもないことを魔女っ子が言い出した。それ、他の神様とかに失礼じゃねぇの?

「スパゲッティが神様ってか? そりゃ傑作だな」
「わたしは、信じてる」

 じろりと魔女っ子がにらんでくる。
 いやー、マズイこと言っちまったな。世の中、信仰の形っていろいろだもんな。

「すまん。あんたの信仰心を傷つけた」

 アタシは正直にあやまる。オラクル移民船団は、文化が混在しすぎててわけのわからん状態ではあるが、いくつかマナーがある。そのうちの一つは、信仰の問題には口を出すな、というのがある。
 数えられない歳月を、いろんな考え方をする連中が共同生活するというオラクル文化において、どうにもこうにも、信仰問題はデリケートだ。だから、他人の信仰をどうこういわない。

「ってことは、あの降下艇が指定されたのは……」
「宗教上の理由」

 あ、そう。ま、アタシにはあんまり関係ないんだけどね。床一面が針山になってるとか、そういう奇怪なのじゃなければ、アタシはべつに何も言わない。

 降下艇『フライングスパゲッティ』の内部は、安心できることに普通だった。
 ただ、特徴的だったのは、ショップとのポータル購買システムに、空飛ぶスパゲッティを信仰してる連中向けのこまごまとしたものが売られていることだ。とくに、ヌードルの類が充実してる。
 「ラーメン」と祈りの言葉を唱えて、魔女っ子はもくもくとヌードルを食べてるので、アタシは彼女の宗教的儀式を邪魔しないように、コクピットで雑談することにする。
 パイロットの兄ちゃんは、航行大学を出て、民間軍事会社に就職したばっかりだそうだ。どことなくおっとりとしたやつで、操縦席にはアニメキャラのホログラフが飾ってあった。こいつ、ギークなんだろうな。ちょっとトーマを思い出す。

「じゃ、出発してくれ」
「いいんですか? 御同乗の方、なにか食べてらっしゃいますよ」

 オタクだかギークだかの兄ちゃんが、カーゴブロックのカメラ映像を見て言った。
 たしかに魔女っ子はなじみの座布団に座って、ヌードルをすすってる。うまそうだな。

「魔女っ子、出発していいか?」

 アタシが喉に当ててある声帯通信器で問いかけると、通信イヤリングから「問題ない」という声と、ヌードルをすする音が聞こえた。

「問題ないらしいぜ」
「了解。当機はこれより惑星ナベリウス指定座標に移動後、降下員を投下。所定位置にテレポーターを敷設し待機します」
「オーケー。じゃ、発進してくれ」

 アタシは空席になってる副操縦士席に座る。
 機器にさわらないなら、座っててもいい、と気のいいオタクな兄ちゃん許可してくれたしな。


 惑星ナベリウスの上空2万フィート付近には結構な数の降下艇が飛び交っている。
 アタシが覗き込んでるカーゴブロックの窓からも、行きかう航空機を肉眼で観察できる。

「いちいち地上部隊なんか送らなくても、空爆とかでフォンガルフなんてさー」

 アタシは魔女っ子にぼやく。

「環境被害が大きい。大規模で断続的な空爆は生態系を狂わせる」

 儀式を終えて、お香だか魔方陣だかを片付けてる魔女っ子が、お勉強のできるおつむを駆使した解答をくれる。

「ARKSの命より、環境が大事か」
「ハーヴィンジャー惑星環境改変法に基づいてARKSがある。法を超えることはできない」

 はいはい。おなじみハーヴィンジャー法ですか。おエライ科学者さんだかが、惑星入植を頑張って法制化してみたってのがそれ。ルール無用の入植者が出るのを防止すると共に、惑星環境を母星のように破壊しないためらしい。めんどくさい法だ。

「じゃ、降下するよ」

 アタシはめんどくさい勉強のはなしは締め出して、さっさと降下プールに飛び込んだ。
 原理? そんなのは知らない。寝てたから。
 ただ、感覚としてはウォータースライダーだな。でっかいプールとかにあるやつ。
 滑ってるときは楽しいけど、降りちまえば死とご対面。
 なるほどARKSってのは、やばい商売だよ。

 魔女っ子が支援してくれるおかげで、目の前の大猿ザウーダンだの、でかい狼なガルフなんかを、効率的に処理できる。アタシがバッサバッサと奴らの肉だの骨だのを切り裂きまくって、怒りの矛先をこっちに向けさせる。
 あとは魔女っ子がフォイエだのゾンデだのとかいう難しい理論が一杯なテクニックを使って一掃してくれるわけさ。
 で、後は担当区域に『特殊インセンティブ報酬契約』というARKS特有の労働契約に基づいてばら撒かれてる金だの武器だの道具だのの『データ』を回収する。
 そう。敵を倒したり、コンテナに入ってるのはあくまでデータ。実物が入ってるわけじゃない。地上で入手したデータは、ARKSを管理するセントラル・コンピュータに記録され、その道具なり装備なりはフォトン・クラスタ・コンテナに一括配送される。
 後は再置換型フォトンデータ体に変換されて、アタシらの個人装具として転送されるわけ。
 ま、とどのつまり、惑星上で拾う装備ってのは全部本当は母船の中にあるってこと。それを割り振ってるだけにしか過ぎない。
 だから、仕事をすればするほど回収品というか、配給品が多くなり、いい報酬になるわけだ。
 逆に働かなければ報酬はない。完全成果主義だ。
 保険とかそういうのは各自加入だし、なんだかARKSってのは軍というよりも個人企業みたいなあるんだよね。一応軍なんだけどさ。

テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

ファンタシースター計画04

 誰にも気付かれずに死ぬってのは、寂しいもんだなと思う。
 一通り仕事を片付けて、森の中をうろついてると死体を見つけた。
 腐りかけたヒューマンの遺体を見つけて大騒ぎできるほどにピュアな心は、研修で死んだ。
 だから、アタシたちは冷静にそれを検分する。
 死体は死体さ。命が消えてしまった、誰かの友だちだったやつの残り物。

「死因は外的圧迫による内臓破裂。たぶん、即死」

 魔女っ子が平然とし死体検分をする。アタシはどうもそういうのは駄目だね。

「即死か。苦しくないのはいいね」と相槌をうっておく。

 とは言っても、死後何かに結構食われてる。こういう死に方は原始的だな。

「ロックベアの攻撃による死因データと附合する」

 ロックベアか。データによれば、動く岩山みたいな熊だかゴリラだな。
 生物学者たちがどう思ってるかは知らないけど、アタシからみりゃ猿どものボス猿だね。

「この辺をアレがうろついてたってわけか」
「腐敗具合からみて、ここ一月以内は」

 ま、そんな大物はベテランARKSどもが狩にきてるはずだ。生きのこっちゃいまい。

「どれどれ、個人IDは……」

 アタシは死体をさぐる。こういうとき、何か信仰心でもあれば祈りながらごそごそできるのに、そういうのは持ち合わせてない。
 魔女っ子は、遺体に対してなにやら香油を一滴たらす。
 そして一言、「死者だけが戦いの終わりを知る」といった。
 それが祈りなのかは知らん。
 ま、死んだこいつがどんな信仰だったかはしらないけど、葬式なしってのよりマシだろ。

「あったあった。今から照合してみる」

 アタシは乾ききった血で汚れたIDを端末にかざす。
 エラー。
 やっぱ、ちょっと汚れすぎてだめか。

「とりあえず戻るよ。船団の設備があれば読み取れるだろうし」
「遺体はどうするの?」

 魔女っ子がアタシをみつめてくる。
 地獄への道は、善意でできているとかいうあの女将軍の言葉が浮かぶ。

「安全が確保されたわけじゃない。放置して行く」
「そう。いくつか遺品を回収しておく」

 魔女っ子はごそごそと死体をさぐる。そして、なにやらデータデバイスを見つけたらしい。

「これくらいしかない」
「そうか。じゃ、戻ろう」

 そして、アタシらは死体を放置してテレポーターに向かう。たぶん、これでいい。
 生きていなければ、明日なんてないんだから。


 生傷の絶えない暮らしってのには、安息日が必要だ。
 そこで、休日を適当に作るわけさ。
 全て自由裁量のARKSには勤務時間だの何だのってのはない。
 どこかにオフィスがあって、席に座って事務処理をする必要も無い。そういうのはアタシらが体張って集めてる戦闘ログを解析するオペレータとかアナリストの仕事。
 そういうわけで、アタシはうーうー文句を言う魔女っ子をつれて、外出する。
 
 そう。久々に一般市民の皆様が日々を謳歌するシティに来たわけですよ。
 アタシらが事務処理上所属するHGウェルズ級航宙艦『ウル』からテレポータを三回ほどジャンプすれば、アシモフ級居住ドーム艦575『バショー』に行くことができる。『バショー』では、世代を重ねすぎた結果、もともとの方向性とは違うところへと発展したジャポン文化をよりしろにして人々が暮らしている。アタシと魔女っ子はここの食文化が結構好きなんだよね。
 
 回転スシがイイという彼女の言い分をアタシは認めない。だって先週も先々週も行ったじゃん。アンタどんだけスシすきなんだよと言いたい。
 だから、今週は『ヲデン』を食べるということになった。ショーチューとヲデンこそ、今のアタシが求めてるものである。
 アタシらが暮らすバトルシップ的な『ウル』に比べて、やっぱりドーム型居住艦『バショー』のほうが生活感がある。道路を行きかう車両はどれも民生品のデザイン品ばっかりだ。装甲車なんか走ってない。
 で、アタシらはタクシーをひろって飲み屋だ飯屋だが集中的にあつまる『ネオ・シンバシ』に向かう。なんでも赤提灯がきれいらしい。

 アタシらが拾ったタクシーのオッサンはおしゃべりだった。
 ベースボールがどうだの、フットボールがどうしただと、イロイロとむだ話を勝手にしゃべってくれる。流れているラジオも、ジャポン文化特有のハイスクール野球の話題だ。決してヤナーチェックのシンフォニエッタが流れて、仕事道具の車両がいかに整備されたものであるかを語る知的なタクシー運転手などではない。これは、魔女っ子から借りたジャポン文明の作家が書いた本の最初の一節だけど、その作家の生きてた時代とはどうも文化が違うらしい。

「――ってなわけでして。うちの娘が大学院でてやっと生物学の博士様になりやしてね」

 魔女っ子のやつが黙って運ちゃんのおっさんの話に相槌をうってるもんだから、あれよあれよと話題が娘自慢になってた。

「――で、軍の研究所で原生生物を研究する仕事についたそうでして。親としちゃ誇らしいというか、嬉しいというか。ヒューマンながらよくやってるなぁと。あっしみたいに車走らせるだけの仕事じゃなくて、皆から必要とされて、大事にされる仕事についてくれたことが嬉しくってねぇ」
「おじさんも必要。わたし車運転できない」魔女っ子が機械的に応えた。
「そういってくれるお嬢ちゃんはいい人ですよ。お嬢ちゃんたち、みたかんじ学生さんじゃなさそうですけど?」
「ARKS」

 ……魔女っ子、あんたもうちょっと言葉に気持ちとかこめられないの?

「へー、じゃぁ、うちの娘とおんなじで軍関係ですねぇ」

 ま、市民から見たらひとくくりに軍関係だろうさ。でも、おっさんの賢い娘さんは安全でクリーンな研究室で賢いことしてるんでしょうけど、アタシはどっちかって言うとあんまり賢くない仕事さ。
 魔女っ子のほうは賢いけどね。たまに何たら研究会だか学会だかにも行くみたいだし。アタシはハイスクール卒のARKSで、魔女っ子はインスティチュート・テック修了の博士ARKS。しかも魔女っ子は十四でそこを修了してる。世の中基準で言うなら、魔女っ子は秀才さ。
 ――アタシは頭をつかって抽象的な事かんがえてるよりも、もっと生きていくのに必要なことのほうを手に入れたかったから、ARKSになった。働けば働くほど、暮らす金には困らないってのが分かりやすくて、アタシ向きなんだとおもう。
 魔女っ子がARKSやってるのもなんか理由があるんじゃないの。知らないけどさ。

「じゃ、お嬢さんがたは今からお給料でショッピングですかい? いいですねぇ。働けど働けど我が暮らし楽にならずってやつですよ、こっちは」

 楽に生きてる奴なんかいないんじゃないの? おっさんも大変だろうし、こっちも大変さ。たぶんおっさんの娘さんも、それなりに苦労してる。ヒューマンの科学者じゃ、ニューマン科学者に脳の構造上苦戦するだろうし。ま、いざとなったら殴ってシメるって選択肢がヒューマンにはあるから問題ないような気もしてきた。
 魔女っ子は……まぁ、信仰とかいろいろ悩みがあるんじゃないの。分からんけど。


 タクシーを降りて、人が行きかう繁華街を歩く。
 ネオン、ホログラフ、勝手にパーソナルIDからアタシの趣味を暴く広告。
 ほんと経済活動ってのは個人情報を暴くことからはじめるよな。
 あれはいかが、これはいかがなんてバカな売り文句は無い。
 あなたにはこれが必要なんです!
 これこそあなたの人生を変えるんです!
 そんなことを訴えかけてくるCMが垂れ流されてる。
 要は、その存在が生活を変えるっていいたいわけ。
 そんな簡単にARKSライフが変わったらびっくりだって。

 とりあえず、魔女っ子がどうしても行きたいらしい店に向かう。
 その店の外観は、この科学万能主義の世界に反逆するかのように、木造店舗だった。
 なぜ繁華街にこんなもんが、といいたい。が、スーツ姿の兄さんや、きらりと輝く弁護士バッジをつけた姉さんなんかが客としていることから、ジャポン文化的には繁華街にこういう店があるのはスタンダードなことなのかもしれない。

「おや、パステルちゃんじゃないかい。ずいぶん久しぶりじゃないかい」

 なんじゃら親切そうなころころした婆様が出てきた。商品が駄菓子ばっかりなところをみると、ここは駄菓子屋か何かなんだろうか。あ、なつかしー。このガム、舌が青くなるやつだ。

「ARKSになったの」
「そうかい。頑張ったんだねぇ、パステルちゃん」
「頑張った」

 すると、婆様がパステルちゃんの頭をよしよしとなでる。
 アタシはおどろいたね。魔女っ子がほっこり笑ってんだからさ。
 なんかさー、こういうのっていいよな。アタシが頑張ったところで、だれかにほめてなんかもらえないしさ。
 ARKS事務局が金くれるだけさ。
 金か。じつはそれほど人を動かすニンジン効果がないのかもな。

「そっちの人は? パステルちゃんがお友だちをつれてくるなんて初めてじゃないかい?」

 ほっほーう。
 そーかそーか。この婆様にこのアタシを紹介したかったわけか。ARKSにもなって、友達までできましたってな。いいぜ、いくらでも協力してやろうじゃないの。

「生贄」

 魔女っ子がそう婆様に紹介する。

 アタシはイケニエじゃねーよ。
 アンタ信仰上の理由でアタシといるんかい。

「あらあら。恥ずかしがって」

 え? 婆様あんたそいつが恥ずかしがってるとかわかんの? すげーな。年の功ってのはやっぱちがうんだな。それともジャポン忍術とかいうやつか?

「あー。ヒマワリです。ヒマワリ・ヒナタ。誰も名前を呼んでくれませんがね」
「おやおや。そんな寂しいことをいっちゃだめだよ、ヒマワリちゃん。せっかくご両親が付けてくださった素敵な名前が台無しだよ? ヒマワリは太陽のように明るくないとね」

 婆様の言葉の説教臭さには辟易するけど、やさしさには感謝する。そういわれて、悪い気はしない。
 ところで、婆様と魔女っ子がどういう関係なのか聞きたいんだけど、そういうのは魔女っ子がそのうち話してくれそうな気もするから、あえて聞くこともないか。


 婆様の駄菓子屋の奥で、グリーンティーを頂いた後、アタシは魔女っ子をつれて、そこそこのブランド店に入った。
 べつにアタシが着るわけじゃない。いつも黒一色、宇宙の闇を引き受けるために生きてる魔女っ子に、まっとうな服を着せるためだ。
 べつに長い黒髪が、この子の見た目を暗くしてるわけじゃない。問題は明らかに服にある。黒く、もっと黒くと言わんばかりに黒を重ねるのはダメだとおもいます!

「ヒマワリ、わたし、こういうの向いてない」

 文句をたれる前に鏡をみろといいたい。白のゴシックはやっぱり似合ってる。
 白い肌になじませるには、やはり純白しかないな。これは買いだ。アタシの金で買ってあげる。

「あとは、カジュアル系ね。店変えるの」
「え?」

 魔女っ子がキョトンとしてる。こいつは服は一つの店で買うもんだとでも思ってるんだろうか。
 で、何店舗かまわって、魔女っ子を痴女っ子にしたり、ロリっ子にしたりと楽しんだ。
 ごめん、本当はアタシが楽しみたかっただけです。でも、いくつか服にバリエーションができたんだからいいでしょ。そういうことにしとけ。


 いよいよ念願のヲデン屋台で、アタシはショーチューにありつく。
 たまご、がんも、ちくわぶなんかを頼んで、ダイコンももらう。
 ヲデン屋台は、なぜかキャストがやってた。味、わかんの? といいたかったが、どうやら緻密なレシピがあって、それを精確無比に実現しているようだ。信じられないくらいうまい。

「料理は科学」といって、魔女っ子が餅巾着を伸ばしてる。

 たれてるぞ、出汁が……。

――らっしゃい

 新しい客が、カウンターにすわる。

「ちょ、アンタ……」アタシは絶句する。
「あー、こんにゃくとダイコン、それと厚揚げね。あと、ビール大」
――へい

 ヘイじゃねーよ。そいつキャストじゃん。

「キァハ准将、どうしてこんなとこに?」

 アタシは意を決して声をかける。あえてヲデンの件は聞かない。

「あら? 有害人間じゃないの。元気してた?」
「まぁ、おかげさまで」

 病院を紹介してもらったから、文句を言うわけにもいかない。

「准将はあれから何を? アタシらはおかげさまでARKSですけど」

 そしてイロイロ思い出す。どうしても思い出すのは、良くも悪くも仲間を失ったことだ。
 自分の責任だから、将軍に八つ当たりするのはおかしいことだと自制する。

「死者を出したことは謝るわ」

 キァハ准将の言葉に、逆に驚かされる。

「正規軍だったら救援するけど、ARKSにはそういう規則が無かった。だからあたしらは黙って指くわえてみてただけ。許してね」

 意外にも、准将は申し訳なさそうな口調だった。あんまり変化しないフェイスタイプだけど、それだけはよく分かった。

「謝られると、逆に腹が立つんだけど」
「そう? ヒューマンって分からないわね」

 そして、キァハ准将はビールジョッキを空にする。いい飲みっぷりだけど、それどうやって処理してるのか聞きたくてうずうずする。だけど、そういうのはキャストに対するマナー違反だ。殺されても文句は言えない。

「で、准将がわざわざアタシに謝るためにきたってわけじゃないでしょ?」

 たぶんテレポータ利用履歴でも追尾したんだろう。軍ならその程度の情報、交通管理局に照会すればいいだけのことだ。

「じゃ、単刀直入に言うわ。ダーカーのデータ回収よろしく。これが観測ユニット。報酬はデータの出来次第ね。軍の口座から振込みがあるから」

 やたら小型のチップが、出汁が染みて変色したカウンターに置かれた。ユニバーサルデザインで、武器端子に接続するあれだ。
 アタシは納得した。なるほど、これはWINWINの関係だ。
 アタシは好きなだけダーカーを殺し、報酬を得る。正規軍は戦闘データを集約し、のんきにオネムの時間をやってる兵士どもにインストールするわけだ。
 ただ、この行為の意味をかんぐりたくもなる。正規軍が動く段階に至っているとしたら――。
 これはARKSだけで対処不能な事態を、誰かが予測しているってことだ。

「ORACLEが緊急事象を予測した?」

 唐突に、魔女っ子が話に加わってくる。餅巾着やちくわぶより、興味深い話らしい。

「ORACLE? あたしら正規軍はあんな得体の知れないSAIは信じない。軍は最新技術が大好きだけど、総合戦略支援AIには枯れた技術を用いるの」

 またまた専門家の話になってきた。アタシみたいなハイスクール卒の戦闘屋にとって、少々理解というか、そもそも言葉の意味が分からないレベルの話になる。
 仕方ないから、アタシはおやじにハンペンとガングロ卵をたのむ。

「それがMARS?」
「そそ。あんた詳しいわね。船団外周の自律戦闘無人戦闘艦艇を動かしてるのは、MARS。なんで別系統かっていうと、ORACLEから独立したスタンドアロンじゃないと、ORACLが異常挙動を示したときに対処できないでしょ?」
「でも、フレーム同期はMARSの構造上、誤差が大きい」
「そこは妥協よね。ORACLEがどうやって動いてるかを知ったら、あんたも信じるのやめるだろうしね。で、MARSが最近出した予測では、ダーカーと船団は間違いなく接触する」
「その点、ORACLEの解とかわらない。ORACLEはARKSで対処可能と考える」
「答えが一致しても、アプローチは違うわけね。でも、あたしは戦争の歴史を信じてる」

 ヲデン屋でこいつらは何を小難しい話をしてるんだ?
 あれだ、楽しそうに仕事の話ばっかりするようになったら、それはもう、仕事中毒さ。
 アタシの死んだ親父もそうだった。フォトン工学について、小さいアタシにわけわからんことを一杯教えてくれた。何一つおぼえちゃいないけど、楽しそうな顔だけは覚えてる。

「で、結局のところ、正規軍は何がしたいんだよ?」

 アタシの問いに、キァハ准将は心外そうなさまをみせる。

「船団市民の防衛に決まってるじゃない?」

 そういや、そうか。ARKSとは全然目的が違うんだな。こっちは惑星探査。かたや正規軍は船団の防衛。どっちも誰かのために働いてるんだけど、実際やってみると、忘れてしまうもんなんだね。

「防衛ねぇ……」

 ARKSの設立目的が、殖民の露払い部隊を創設することだったことから考えて、特に船団の防衛任務があるわけじゃない。おどろくべきことだが、船団がなんらかの存在に脅かされたとしても、強制的に防衛戦闘に参加する義理はないってことになってる。これは規約に明確に書いてあることだ。

「とは言っても、正規軍の9割以上は寝てるんだけどね」

 ランニングコストを抑えるために、将校や、特殊任務部隊だけが平常勤務してるってのは、講義で聞いたことがある。

「大変だね、正規軍も」
「まぁね。それぞれの組織にはそれぞれ違う悩みがあるわけよ。悩み事に乾杯」

 アタシらは、コップとジョッキをあわせる。
 こいつには殺されかけたけど、なんというか、悪いやつじゃないってことが分かった。
 それで十分っしょ。難しい話なんかどうでもいい。
 だって、それは偉い人が悩んでりゃいいことだから。こういうキャストの女将軍みたいにね。

テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

ファンタシースター計画05

 ARKSの事務局から呼び出しをくらった。
 しかも、アタシと魔女っ子二人とも。アタシらは午後から新しいソファを買いに行く予定だったのに、それをやめて、のこのこと事務局へと向かう。
 降下艇発進口に接続する馴染みのロビーに到着すると、仕事に精がでるARKSの同業者達でごったがえしている。

「なんか最近ARKS増えたんじゃない?」
「研修期間が短くなったから」と魔女っ子が教えてくれた。

 そうか。短期間になればなるほど、新規参加のARKSは多くなるよな。

「あらあらあら、ヒマワリさんにパステルさんですねぇ?」

 やたら列が出来てる受付カウンターに並ぶのが面倒だったので、待合ソファに座っていると、危なそうな真っ赤な目をした女キャストが話しかけてきた。

「リサはですねぇ、あなたたちを迎えに来たのです」

 よくわからんが、この人はレンジャーらしい。アサルトライフルを携帯している。

「ではでは、リサと一緒にきてくださいねぇ。リサはあなた達に事務局からのお知らせを伝えるんですね。リサは仕事熱心ですから」

 こいつ、瞬きしないんだな。なんというか、かっぴらかれた瞳に狂気みたいなのを感じるんだけど。でも、キャストに狂気とかあるのかな? バグってこと?


 とりあえずリサについていくと、いままで入ったことのない事務局の応接室みたいなところにたどり着いた。

「はい。リサのお仕事はここまでなのです。では、ではでは御機嫌よう」

 あ、はい、といってアタシらがソファに腰を下ろすと、いきなりリサがアサルトライフルの銃口をこっちに向けた。
 アタシは唖然とした。全力で規則違反じゃないか。

「あはは。冗談ですよぉ。なんだか健康そうな御体でしたから、撃ったらどうなるのかなぁ? って思ったのです。でもでも、リサは善良なアークスなのです。ですから人を撃ったりしてはいけませんということを知っているのです。では、御機嫌よう、御機嫌よう」

 おどろくアタシらをほったらかして、リサってキャストは出て行った。
 わけがわからん。
 アタシは正直冷や汗をかいていた。あのへんてこな女キャストなら、あそこで引き金を引いていてもおかしくはない気がする。

「なんだったんだ、あれ?」とアタシは魔女っ子に訊く。
「わからない」

 魔女っ子も首をかしげている。こいつがわかんないなら、アタシがわかるわけないわな。


――お呼びたてして申し訳ありません。では早速用件に入らせていただきます

 どうやら上級研究員らしいニューマンの男性が、頭の切れ味そのままの単刀直入さで勝手に説明を開始した。
 アタシらは黙ってそいつの説明を聴き、投影される映像資料をみる。
 なんとなく、説明は意味不明だったが、映像だけは見覚えがあった。
 10年前の、第1次ナベリウス惑星環境研究プラント。
 アタシの親父が、写っている。
 研究端末片手に、同僚達と仕事をしてる。
 あ、これはサプライズパーティの映像かも。
 これは……たぶん親父の研究対象だった原生生物たちの管理棟かな。檻の中でギャーギャー暴れてるウーダンに知性があるかどうか調べてるみたい。

 思わず、胸の奥があつくなる。耳元に自分の心臓の鼓動が聞こえてくる。

「パパ……」

 小さい頃のように、画面に向かって呼んでみる。
 魔女っ子がちょっとおどろいているようだけど、そんなのどうでもいい。
 残っていないと思ってた、あの頃の親父の姿を見れただけで、嬉しい。

「やはりお父様でしたか」と研究員が納得したようだ。

 そこで、映像資料は切れた。

「これは何なんですか?」

 アタシはちょっと早口な上級研究員をみる。

「先日あなたがたが持ち帰った遺留品のデータです」
「なんでそんなものを、あのARKSが?」

 アタシは半分白骨化しつつあった遺体を思い出す。

「あのARKSは一月ほど前、我々ナベリウス農業基盤研究ユニットが派遣した者です」

 あっさりと答えをくれて、びっくりする。こういうのって機密とかそういうのがあるんじゃないの?

「ナベリウス農業基盤研究ユニット?」

 魔女っ子が興味をそそられたようだ。研究とか学会とか、実験とか、そういうのが好きなキーワードらしいと最近わかってきた。他にも呪いとか、NINJAとかも好きらしい。

「はい。ナベリウスに入植が進められない最大の理由は、農業用の土壌を開発できないからなのです。それを改善するためのユニットが我々ナベリウス農業基盤研究ユニットです」

 ま、そういうプロジェクトなんだろうと聞き流しておく。土壌改良なんて明らかにアタシの守備範囲外だし。

「で、それとアタシの親父がなんか関係あったんですか?」
「関係というか、ご存命であれば貴女のお父様が我々の研究チーフになっていたはずです」

 へー。親父も案外偉かったんだな。

「親父は何を研究していたんですか? ひらたく頼みますよ」
「えー、貴女は土の三相をご存知で?」

 べつに馬鹿にしている様子は無い。たとえ話を作るレベルを考えているようだ。
 にしても、無神経というかなんというか。
 知るわけ無いだろ? ハイスクール卒をなめんなよ。

「こりゃ参ったな。かなり基礎から説明しないといけませんね」

 そういって、なんだかアニメっぽいイラストがホログラフとして現れた。

「これは我々研究所の広報が作った、ニューマンの幼稚園児向け資料です」

 そして、ニューマンの幼稚園児以下の知性らしいアタシは、十分ほど講義を受けた。
 なるほど、土っていろいろと大変なんだなというのは分かる。

「――まあ、大体分かりました。つまり親父はなぜか毒性作物化するナベリウスの土壌を改良するための堆肥研究用の難しい機械を作ってたと」
「ま、大枠はそれでよろしいかと。微積分が出来る程度の知性はお持ちのようだ」

 それは褒め言葉なのか?

「それで、アタシらを呼んだ理由がまったく掴めないんだけど」
「それについては、ただいまより説明いたします」

 そしてまた、映像資料が映し出される。
 今度は最近の映像だ。
 これは……ダーカーとの戦闘記録みたい。さっきアタシらを案内してくれたリサとかいう危ない女キャストが頭に観測ユニットをのっけて撮影したらしい。あれは案の定戦場で狂ってた。しつこいくらいにダガンという小型昆虫型ダーカーの関節を撃ち抜き、自由を失った様をみて大笑いしている。
 なるほど、ダーカー相手ならば、アタシと友達になれるね。日ごろ一緒にはいたくないけど。

「なかなか派手な映像ですね」
「派手さはともかく、この画面左端を見てください」

 アタシは示されたところをじっとみてみる。うっそうとした森の中に、なにやら人工物が見える。

「これが、第1次ナベリウス惑星環境研究プラントの残骸です」
「へぇ」

 そして、リサは人工物の残骸の中に入り込んでいく。錆びたフェンスだとか、古びたコンクリ壁を遠慮なくぶっ壊していく。なるほど、女は見た目じゃねぇな。

「そろそろです」

 研究員が注意を促す。アタシは画面に釘付けだ。
 だって、そこはアタシがよく知る場所だから。今でもよくおぼえてる。
 アタシはこのシェルターに入って、生きのこったんだから。

――ひらけ、ゴマー!

 リサが無理やりアサルトライフルの下部からグレネードをぶっ放して、壁を粉砕した。
 おいおい。強引だな。ま、電気系統なんか生きてないだろうからね。
 そして、暗闇を照らすためにリサがフラッシュライトをつけた。
 一筋の光の先に、白骨化した死体がある。
 まだ小さい少女のようだ。
 映像を見ているアタシは、動揺を隠せない。心拍数なんて戦闘中なんかよりずっとはやいし、なぜか指先が震えてる。

――IDを見つけたです。さすが、リサはいい仕事をしますねぇ。偉いのです

 IDには、ヒマワリ・ヒナタと書いてあった。
 アタシは頭の中で、何かが壊れる音が聞こえた気がして、そのまま倒れた。


 アタシはソファに寝かされていたらしい。
 腕には、点滴のチューブがささってる。なんの点滴パック? 医療用のナノマシンパックみたいだけど、よくわかんない。

「気がついた」

 魔女っ子がアタシを覗き込むと、ペンライトを目に当ててくる。

「ちょ、まぶしいんだけど」
「異常なし。脳神経が死んだかと思った」

 ぞっとすることを平然と魔女っ子がこぼすので、アタシは少々不安になる。
 ま、さっきのショックは確かに脳みそが爆発したんじゃないかと思ったよ。

「――上級研究員は?」
「確認したいことは確認できた、といって帰った。部屋の使用許可もくれた」

 おいおい。そりゃないだろ。
 アタシのほうがよっぽど確認したいことがあんだよ。

「魔女っ子、あの映像は合成とか、CGとかそんなんだよな?」

 いくつか希望が欲しいから、魔女っ子にすがってみる。

「その可能性は無い。なぜなら直接証拠がある」

 そういって、魔女っ子はアタシのささやかな希望を粉砕すると共に、端末にデータを送りつけてきた。アタシはあわててデータファイルを閲覧する。

――偽装人格計画報告書

 報告書の内容は、うんざりするようなものだった。
 いかにしてヒマワリ・ヒナタという架空の存在が作り上げられたかが事細かに書いてある。
 サンプルは確かに10年前事故死した実在の少女、ヒマワリ・ヒナタ。
 だが、それは前提にしか過ぎない。
 この計画の達成目標は、プレーン・ボディ、すなわち何の記憶も持たない遺伝子レベルから製造されたクローンに、焼付け記憶を与えることで人としてなんら支障なく生活圏を構築しうるかを研究するものだった。
 アタシ、クローンなんだ……と端末を持つ手が震える。

「その計画は、有機生命体のノアの箱舟」

 わけのわからんことを魔女っ子がいう。箱舟? そんなの知らないって。
 アタシはどうなるのさ? じつはアンタの記憶は全部ウソでーすなんていわれて平然としていられるわけないでしょ。
 アタシは、端末を思いっきり壁に放り投げた。

「動揺してる?」魔女っ子がのぞきこんでくる。
「当たり前だって! おかしくなりそう……」
「大丈夫。さっき安定剤は投与しといた」

 アタシは点滴のチューブを引きちぎる。
 魔女っ子が唖然としてる。

「――文明人とは思えない」
「うるさい! アタシは、人じゃなかったんだ……」

 頑張って思い出そうとする。
 いざ意識してみると、多くの記憶が欠落している。アタシはどこのハイスクールを卒業したんだ? 得意科目は? 苦手科目は? 友だちはいったいどんな奴だったんだ?

「この計画の意義は大きい」

 混乱するアタシを尻目に、かってに研究の偉大さを魔女っ子が語りだす。
 意義なんて知らないって。そんなことより……そもそもあの研究員は何者だ?

「あの野郎、本当は何者だ?」
「ORACLのサブフレームによると、ナベリウス農業基盤研究ユニットはちゃんと実在してる。だけど、
さっきの研究員のデータはない」

 やられたよ。手がかりナシだ。
 お先真っ暗だ。アタシは、いままで信じてたアタシとは違うんだ。

「アタシ、どうしたらいいんだろ」

 力なくうつむくしかない。嘘で作られた人生だったなんて教えられた場合の対処法なんて訓練は受けてない。

「あなたが誰であれ、あなたはARKS。それだけは間違いない」

 魔女っ子が、自分の端末でアタシのIDを表示する。
 確かに、アタシはARKSみたいだ。
 そうすると、アタシはARKSってものに限りなく寄りかかるしかない。

「そうか、アタシはARKSなんだね」
「もう一つ確実なことがある。わたしは、あなたが嫌いじゃない」

 さすがだよ。
 つくづくあんたの言葉はアタシを勇気づけてくれる。

 根暗で

 変な信仰で

 不健康な白肌で

 妙な御香炊いて

 呪いグッズ集めるあんた

 確かにウザくてどうしようもなくて、しかも人の話聞かないけど
 
 アタシもきらいじゃない。

 アタシは、確実なものの一つである魔女っ子を抱きしめる。
 うん。鍛えてないからちょっとやわらかすぎる。
 だけど、あったかい。

「苦しい。あなたの筋肉はわたしにとって危険」

 おい。失礼だろ、てめぇ。

テーマ : ファンタシースターオンライン2
ジャンル : オンラインゲーム

プロフィール

YABUSAME

Author:YABUSAME
PSO2をプレイして、結構たちましたねぇ。
SEGAさんの公式サポーターになって随分たちました。

さて、ここにはテキストコンテンツしかありません。
華やかな画像やSS、イラストとは無縁ですのでご了承ください。
ななめ読みとかして楽しんで頂ければと思います。





PSO2_200x200_応援バナー01

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。